前回の話はコチラ↑








「予約の人?こっちに停めて、こっちに!」




予約したライハに着いたのは午後5時。

何とか夕方までに到着出来たのは、昼メシ以外は休憩無しで走り続けたからだろう。

これまで一番長かったのは静岡まで走った時だったと思うが、あの時は途中で伊勢湾フェリーに乗ったからまだ楽だった。






(つ……着いた………)





沢渡温泉。

沢渡と書いて『さわんど』と読むらしいが、そんな事はゆたぼんの将来くらいどうでもいい。

尻の感覚はとうに消え、道中では異常に冷たい雨が降っている上高地。とにかく一刻も早く風呂に浸かりたい。






「はい、お疲れ様~!先にチェックインするからこっち来て。お~い!お母さ~ん!お客さん着いたよ~!」




到着早々うるさいオッサンの出迎えには辟易したが、その山小屋っぽい宿の前には沢山の登山者達が集まってたりして雰囲気はいい。

そっか、ライダーハウスってのは名ばかりというか、どっちかと言うとここは登山者中心の宿なんだな?

道理で見た目がライダーっぽくない人がうじゃうじゃいる訳だ。








駐車場もほぼ満車状態だった沢渡温泉。
背中を向けたサンダル親父がうるさいオッサン。






宿は売店のある母屋がゲストハウスになっている様で、素泊まり一泊三千円。

オレが予約したライハは、どうやら離れになる様だ。

ま、一泊千円ならそんな事はどうでもいいけどね。とにかくさっさとチェックインさせてくれよ婆さん。魚肉ソーセージの補充とか後にしてくれ頼むから。






「チェックイン終わった?終わったらこっち来て!」





宿の主人か何か知らんがとにかくうるさい。

まあ、こういうタイプの人間がいるからスムーズに運ぶ事もあるんだろうが、ヘトヘトに疲れてる時はマジで勘弁してほしいよな。

一々案内されなくても見りゃ分かるって、トイレの場所くらい。






「二階にも部屋はあるけどね、おたくは一階のココ。今日は後から来る三人と一緒に使ってもらうから。素泊まり?じゃあ売店にパンとかカップ麺とかあるから。お湯は部屋のポットで沸かせるから!スイッチはココ!トイレは外にもあるけど、中のスイッチはココ!」





しんどいわ………頭痛くなってきた。






「うん、はいはい、分かりました分かりました。早く風呂に浸かりたいんで、後は自分でやりますから」


「あ、風呂!?風呂は売店の向こ……」


「分かった分かった!分かったから!案内図出てたから大丈夫やて!ちょっと静かに喋ってくれ疲れてんのやから💢」






長時間に渡る運転から来る極度の疲労。

客を客とも思わぬ様な口振りでの案内の仕方。

耳障りなボリュームの話し方。


着いて早々キレさすなよ。頭おかしいんかキサマは?








24時間利用出来る半露天風呂。
大して気持ち良くもなかったが、この風呂にはある秘密が…






思わずデカい声を出したオレに驚いたのか、顔面蒼白になって部屋を出て行くサンダル親父。
その後ろ姿を見て一瞬『しまった』とは思ったが、いつも言ってる様に安かろうが高かろうが料金が発生している以上は客は客だ。
一流ホテル並みの対応をしろとは言わんし、至れり尽くせりなサービスを期待してる訳でもない。
ただ、初対面の客に対する……いや、客じゃなくても初対面の相手に対しての話し方ってのがあるだろうが。
『おたく』とか言うか?普通。





(あ~……やっと一息つけたなぁ……)




白みがかったヌルい風呂。
それは正直言って気持ち良くも何ともなかったが、とりあえず一息つけた事に気が和む。
朝6時に出発して約400kmか……そりゃ疲れるわな……何か……何か眠くなっ………









( ゚д゚)ハッ!








誰もいないのをいい事に、浴槽の縁にタオル枕を作って寝風呂状態だったオレ。
余りの静けさと疲れでウトウトしていたのだが、湯面の波で目が覚めた。と言っても男風呂にはオレ一人。波は仕切りになっているヨシズの向こうから押し寄せて来る……








ピチャッ…









半露天風呂は半混浴だったという事でよろしかったでしょうか♥️






思わず出来の悪い店員が使うバイト敬語になってしまうのも無理はない。
小汚ないヨシズには向こう側が見えない様に雑な加工が施されているが、その下の湯面から上20cm程の隙間の向こうは女風呂である。
となると、一般的な健康男子が頭に浮かべる極秘作戦と言えばただ1つ…

















ネイビーシールズ作戦








ライハ近辺で買い物出来るのは母屋の売店だけ。
因みにマカは売ってなかった。