「うううう~~~っ…………さぶっ!」
10月22日の午後。
学習能力の無いオッサンとは私の事です。
天気は快晴なのだが、何と言うかこう……高地独特の薄ら乾いた空気が頬を刺す様な、そんな冷気の中を走っている。
気温は8度。体感は2度くらいか。
酔った勢いで付き合った女のスッピンを、寝起きに初めて見た時の様な寒さである。
しかし寒冷地に住むのって凄い事だな。
そういうのは全て慣れなんだろうが、冬が長い地域に住んだ事のないオレからすれば想像もつかんわ。
『雪見露天風呂』なんてのは旅行者だから満喫出来るんだろうし、ボケっとしてたら水道凍るし、後からコタツに入って来たヤツの足が当たったら冷たいし大変だな、ホント。
が、な~んか憧れてしまうのは何でやろ?
やっぱ黒板家による暗黒物語のせいだろな。
「ふあ~~っ……生き返る♪」
このままじゃ熊にも八つ当たりしそうなくらい冷えきっていた。
と、そんなところに発見したのが道の駅に併設してあった無料の足湯。
普段は足湯なんか絶対に利用しないと思っているオレだが、これだけ寒いと四の五の言ってられねーわ。
つか、足湯って何か汚く感じてたけど、普通に考えてみれば共同浴場の方がアレだよな?
だって、足どころか全身な訳で、アレとかアレとかアレもそうだし、時々だけど『アレ?』っていう事だってあったりするしね。
ソレだけはもう少しアレしてほしいもんだ(←訳わからん)。
ただ、足湯の横にでも足を洗う場所があったらいいのにな。掛り湯みたいな感じで。
そういうのを見た事が無いんだけど、ある所にはあるのかな?
何だか知らんがブラックモンブランが食いたくなったぞ。
じんわり温まったところで再び白川郷を目指す。
目に入って来る標識にもそれが出てくるし、あと20分も走れば着くんじゃないだろうか?
「あら?………これがそうかな??」
いきなり視界に入って来た合掌造りを見て、予定よりかなり早く着いたなと早合点するオレ。
「いや……たったこんだけじゃないはずやし、やっぱりもっと先にあるんか……ま、いっか。ちょっとだけ寄ってみよ」
「はあ~………ふ~ん………綺麗なもんやなあ………なるほどねぇ………しっかりした造りなんやな…………よし、もう行こ」
確かに凄く綺麗だし、初めて見る合掌造りはなかなかの迫力だ。
が、当たり前ながらそれはしっかりリフォームされており、しかも一階がレストランになってる家もあったりすると『何だかなあ…』って気持ちになる。
まあ、保存するにはこういう事も必要なんだろうが、そこで出されているメニューの値段を見て、更に興味が薄れて行く。
立て看板のメニューを見て、大体の量と原価が分かってしまう自分が恨めしい。
(飛騨牛なぁ……好きな人は好きなんやろな、ブランド牛)
飛騨牛といってもピンキリな上、使用される部位によっての値段なのだが……まあ、こんな所で飛騨牛も何もあったもんじゃないが、『こちらのお店は飛騨牛のA5ランクを使用した…』とか言ってる連中は何も分かっていない。
つか、そいつらに『じゃあ、A3とA5の違いを言ってみろ。ついでに和牛と国産牛の違いもよろしく』てな事を聞いたって、100人中100人が答えられないだろう。
ご当地牛というのは、そこで産まれ育った牛じゃなくてもご当地牛になる。そのカラクリをここで全部曝すのもアレだが、要はその土地で数ヶ月飼育すれば◯◯牛と呼ばれるのだ。それだけ畜産農家は年々少なくなっているのである。
因みに、去年初めて訪れた種子島にも数ヶ所程度だが黒牛(黒毛和牛)を出荷している農家がある。
オレはそこで農家の方と少しだけ話をしたが、主な出荷先は神戸と松阪との事。
牧場の状態が良さげだったので、それを聞いた時には『やっぱりね』と思ったもんだ。
九州以南は温暖な事もあり、牛の成育が早いというのも昔から言われている事だが、基本的には◯◯牛と謳ったって元は但馬牛(兵庫)なのである。
んで、絶滅の危機から復活した但馬牛を………ま、いいや。面倒くせーしやめとこ。
要するに、どこに行っても『◯◯と言えば◯◯牛!』とか言ってるのは無知をさらけ出してる様なもんなんで止めといた方がいい。
つか、歳取ったらアメリカ産の方が美味くなってくるよな。
50過ぎると和牛はキツい。
で、何の話だったっけ?
あ、合掌造りか。
2分くらい見たしいいや。
やっぱ今のままが楽だ。