マルタイラーメンは1束、素麺は2束が丁度いい。
これにはあまり迷わない。
迷うのは、いつもコレである。
最近では、ご親切に小分けの束になったものが売られている。
「これが一人前ですよー」
という、食品メーカーの声が聞こえて来る。
「少なく見えても、これでお腹一杯になりますよー」
という、商品開発部の声が聞こえて来る。
「分かりました。ご親切にありがとうございました。これでもう迷わなくて済みます」
という、上辺だけのお礼を心の中で返す。
(横文字のワンプレートランチで満足するOLじゃあるまいし、そんなもんで腹一杯になる訳ないやろ。オレは騙されんぞ)
普段から束状になってない麺しか使ってない男からすると、せっかく頂いたご親切も大きなお世話なのである。
(ま、素麺だって2束で丁度いいくらいやし、スパ麺だって似たようなもんやろ。足りひんよりは余るくらいがいいに決まってるわ)
自分の年齢と空腹感の釣り合いが取れていない男は、こういう親切を疑う事しか考えていない。
というか、ハナから1.5束にするという発想が無い時点で空腹に負けているのだ。
空腹に負けると、男は冷蔵庫の余り物を『腐るから』という理由で次から次へと投入する。
本来ならナポリタンにするはずだった予定は、余り物のキノコとブリの切り身で和風に変わり、ただでさえ倍になった麺の量と合わさって、最早フードファイターが食べる様な超大盛パスタが出来上がるのである。
繰り返す。
マルタイラーメンは1束。
素麺は2束。
そして、パスタ類はメーカーの親切を信じる事が基本中の基本だ。
今朝の朝食タイムは8時だった。
午後2時現在、まだまだ満腹である。