思わせ振り放任主義のオーナーと、野鳥と共に日々を生きるパラノイア夫婦が棲むゲストハウスを後にし、次にオレが向かう予定にしているのは長野県の北安曇郡にある白馬村である。
が、そんなブルジョア公爵がキツネ狩りで駆け回っている様な名前の村へと向かう前に、オレはどうしてもこの目で見ておきたい場所が軽井沢にあった。
(あれ~、おかしいな?やっぱりこの道、勝手に入ったらアカン道やないか……)
その場所へ辿り着くにはナビを使えば一発なのだが、あともう少しという所まで来ると【これより先、一般の方は通行不可】という注意書きが必ず現れ、その度に迂回して別の道を探すの繰り返し。
ま、考えてみりゃココら一帯は纏めて管理された別荘地だ。
逆にオレが別荘のオーナーだったら、オレみたいな貧乏旅行者にはうろついてほしくないもんな。中には怪しい連中だっているだろうし。
(あ………これか!?)
ただでさえ山深い場所にある上、そこへと続く勾配は所々が苔むしており、更に延々と繰り返す通り雨のせいでミストがかかっているという悪条件。
ここに来るまでには何ヵ所かで草刈り等をしている管理業者を見てはいたが、それ以外に人の気配を感じる事は全く無かった。そこが余計に不気味さを増す原因になっている。
(間違いねーな、コレや……よくもまぁこんな山奥まで逃げ込んだもんやなぁ………あ、元々山奥に隠れて活動してたんか、あの勘違い連中は)
(しかしまぁ、説得に駆り出された母親からしたら生き地獄もエエとこやったやろうになぁ…可哀想に……)
時代が時代だったとはいえ、何が革命だクソガキ共がと思う。
やった事と言ったら、詐欺と強盗と殺人じゃねーか結局は。
世界を変えるだの格差の無い社会を作るだのと、社会主義と共産主義の違いも分かってない青二才のカス連中が。
思想強めなフリしただけのマルクスかぶれは、その殆んどが共産主義国家の現実なんか分かってないクズばっかりだ。
あんなもんは最終的に下劣な独裁者を生むキッカケになるだけで、それはどこの共産国家を見渡してみてもハッキリしてる。
ま、当時はそれが流行りだったのかもしれんが、半分以上はただ流行りに乗っかったバカが占めてたんだろうな。
ベトナム戦争への間接的介入が理由で日本人殺してりゃ意味ねえっつーの。何が【総括】だ、バカバカしいっ。