思わせ振り放任主義のオーナーと、野鳥と共に日々を生きるパラノイア夫婦が棲むゲストハウスを後にし、次にオレが向かう予定にしているのは長野県の北安曇郡にある白馬村である。



が、そんなブルジョア公爵がキツネ狩りで駆け回っている様な名前の村へと向かう前に、オレはどうしてもこの目で見ておきたい場所が軽井沢にあった。





(あれ~、おかしいな?やっぱりこの道、勝手に入ったらアカン道やないか……)





その場所へ辿り着くにはナビを使えば一発なのだが、あともう少しという所まで来ると【これより先、一般の方は通行不可】という注意書きが必ず現れ、その度に迂回して別の道を探すの繰り返し。


ま、考えてみりゃココら一帯は纏めて管理された別荘地だ。

逆にオレが別荘のオーナーだったら、オレみたいな貧乏旅行者にはうろついてほしくないもんな。中には怪しい連中だっているだろうし。







遂に辿り着いた『あの別荘』
50代半ば以上の人ならピンと来たはずだ。






(あ………これか!?)




ただでさえ山深い場所にある上、そこへと続く勾配は所々が苔むしており、更に延々と繰り返す通り雨のせいでミストがかかっているという悪条件。


ここに来るまでには何ヵ所かで草刈り等をしている管理業者を見てはいたが、それ以外に人の気配を感じる事は全く無かった。そこが余計に不気味さを増す原因になっている。





(間違いねーな、コレや……よくもまぁこんな山奥まで逃げ込んだもんやなぁ………あ、元々山奥に隠れて活動してたんか、あの勘違い連中は)







その外観は建て替えられて殆んど変わっているが、当時の雰囲気だけは充分に感じ取る事が出来る。






(しかしまぁ、説得に駆り出された母親からしたら生き地獄もエエとこやったやろうになぁ…可哀想に……)







現在は中国企業の所有物件になっているとかいないとか。
以前は観光バスが来たりしてた様だが、今はオレみたいな物好きが時々来るくらい。






時代が時代だったとはいえ、何が革命だクソガキ共がと思う。

やった事と言ったら、詐欺と強盗と殺人じゃねーか結局は。

世界を変えるだの格差の無い社会を作るだのと、社会主義と共産主義の違いも分かってない青二才のカス連中が。

思想強めなフリしただけのマルクスかぶれは、その殆んどが共産主義国家の現実なんか分かってないクズばっかりだ。

あんなもんは最終的に下劣な独裁者を生むキッカケになるだけで、それはどこの共産国家を見渡してみてもハッキリしてる。


ま、当時はそれが流行りだったのかもしれんが、半分以上はただ流行りに乗っかったバカが占めてたんだろうな。

ベトナム戦争への間接的介入が理由で日本人殺してりゃ意味ねえっつーの。何が【総括】だ、バカバカしいっ。







もうお分かりだろう。
そう、ここがあの【あさま山荘事件】の舞台となった現場である。
当時のいきさつを調べれば調べるほど胸糞が悪くなるという猟奇的事件だ。







『今じゃ考えられないが、あの頃はそういう時代だった』と言われる事は色々ある。


飛行機も映画館もバスも列車もタバコの煙でモウモウだったし、あぶない刑事の二人はそこら中でポイ捨てしてた。


『毎度お騒がせします』が始まると変な空気が茶の間に流れたし、畑中葉子がソロデビューして歌った日には、子供の質問に困った親なんて100万人くらいいるだろう。


が、そんな下らないもんと違い、バカが勘違いして人殺しするなんてのは絶対に時代のせいになんかしちゃいけない。


右曲がりでも左曲がりでも、思想は人それぞれ好きにしてくれりゃ結構なんだが、激情に走りやすい未熟なガキンチョを利用するのだけは止めてもらいたいもんだ。
だから未成年に選挙権与えるの嫌なんだよな、オレ。逆に25歳以上からにしてほしいと思ってるくらいだし。






ま、何のこっちゃ分からない若者はスルーしてくれればいいし、真逆の考え方な人はシェムリアップ辺りの屋台でボッタクリに遭えばいい。





以上、平和を願うオッサンの『役に立たない軽井沢案内』でした。










軽井沢で最後に味わうコーヒーはこちらで。
胸糞悪い一人観光の後には最適だ。








と思ったら定休日やないかい。何で毎回毎回こんなオチやねん?
とっとと白馬村行こ!