軽井沢に来るのは、これが初めてである。


というより、オレみたいな貧乏人は関所で断られるというイメージしか無かった。



軽井沢=お金持ちの別荘。



これ以外には、思い付きもしなかった(←小学生か)






軽井沢カラーのセブンイレブン。
一瞬色盲になったかと思ったが、京都のマクドナルドとかと同じだな。



それしか思い付かなかった場所へ、何でまた好き好んで行こうかと思ったかと言うと、前に書いたこの記事が原因である↓









ここに書いた通り、オレはガキの頃からのジョン・レノンファンなのだが、この記事を書き始めた時に、『あ、そういやジョンはよく軽井沢にお忍びで行ってたよな』と思い、それなら所縁の場所を巡ってみるか、となったのである。

他には特に理由は無い。
行ってもどうせ妬み嫉みの塊と化すのは分かっていたし、今までの旅より予算が高くつく事も覚悟していた。



(どうせなら、万平ホテルに泊まってみてぇなあ…)



万平ホテルとは、ジョンが定宿にしていたホテルの事だ。














そうと決めたら早速予約………と思ったが、流石のマンペーさんは予想を遥かに上回る料金だった。
可愛い彼女でも一緒なら話は別だが、オッサン独りで過ごすのにメリットが1ミリも無いのはアホらしい。
ここに泊まるのは伊藤蘭みたいな彼女が出来てからだな。それまでは身の丈に合った宿で我慢しよう。






ええ歳こいてオレの身の丈はゲストハウスかい!と情けなくなったが、安いんだから仕方がないという事で。
しかもドミトリー貸切りだったし。





「良かったらですけど、今日泊まってるカップルと一緒に割り勘で夕食どうですか?割りと近くにある中華料理の店なんですけど」



チェックインを済ませ、一通り設備の説明が終えると、まだ30代半ばかと思われる管理人の兄ちゃんが、唐突にそんな事を言い出した。



「え………いや、遠慮しときます。どうぞ若い方で楽しんで来て下さい」



何なんだ、この教科書通りなゲストハウスノリは。ラオスの日本人宿なのか?



「あ、そうですか、わかりました。大丈夫です、別に強制とかでは無いんで」



当たり前だ。
何でオレがお前みたいな若造に強制連行されにゃならんのだ。年功逆序列のベラルーシかここは。





古民家を改修してゲストハウスがやりたい……
そんな若いパッカー崩れは山ほどいるが、それを実現すると旅に出られないという現実が待っている。
そういや知り合いは殆んどやめたな。儲からんし。




「すんませんね、長距離の運転で疲れてるんで。今日はシャワー浴びて早めに寝ます」

「分かりました。そうですよね、下呂温泉からここまで原付は疲れますよね。もし買い出しに行かれるなら、ツルヤっていうスーパーがいいですよ♪あそこは地元のワインとかも置いてますし、お土産にもなりますよ。温泉に行くなら近くに……」

「あ、いや、じゃあツルヤに行ってみます。温泉は昨日も入ったんで止めときます……というか、出身地が温泉県なんで……あんまり興味無いんですよね。すんません」





お客さんに楽しんでもらおうという気持ちは分かるし、そこは本当に有難いし偉いと思う。

が、ここはバンコクのカオサンロードじゃないんだからオッサンにはやめてくれ。
そういうノリは卒業旅行のパッパラ大学生をターゲットにしてくれたらいいし。
あと、割り勘でメシに行ってもいいんだが、多分一人単価8000円くらいになるまで呑み倒すぞオレ。
メシ代はケチる方じゃないし、あれば北京ダックとかも注文するよ、割り勘の場合。






「説明は以上ですかね?じゃあ、早速買い出しに行って来ます。暗くなる前に」






ごめんな兄ちゃん、付き合い悪くって。

でもオレ、しんどいんだわ、そういうノリ。

『ならゲストハウスなんか泊まるなよ』って思うかも知れんが、ほったらかしのゲストハウスってのも沢山あるもんでね。




そういう宿が好みでござーます、オレ。









完全に意味の無いアクリル板だが、無いよりはマシってヤツか。
ま、何にしても空いてて良かった。