「もう!返事の途中なのにっ」と顔を真っ赤にして、ぽすぽすと俺の胸を叩く。
あぁ…可愛い。
このまま離したくないな。
松本くんの手を掴んで自分の胸に引き寄せた。
「わっ…」
松本くんは、
"ドキドキしたりモヤモヤしたり、勝手に期待したり"って言ってた。
そう思ってるのは自分だけだと思ってるみたいだけど。
それは俺も同じだよ。
いい歳した大人で、恋愛経験だってそれなりにしてる。なのに君に関しては今までの経験なんて無意味なほど、振り回されてしまってるんだ。
こうやって抱きしめたら、ドキドキする鼓動が伝わってしまうんじゃないかと心配になる。
「……熱いなぁ」
「だ、だって、櫻井さんが急に…、」
自分のことを言われたと思ったのか、松本くんは恥ずかしそうに顔を伏せた。
「違うよ、俺のこと。松本くんが近くにいると心も体も熱くなるんだよ」
松本くんは顔を上げて少し驚いた表情をしたあと、今度は嬉しそうに微笑んだ。
だめだ、可愛すぎる。
「松本くん」
ゆっくりと唇を重ね、体を委ねてきたのを見計らって角度を変えながらそれは次第に深くなっていく。
そんなキスに戸惑いながらも必死でついてきてくれているのがわかる。
「…っ、ん」
唇が触れては離れて酸素さえ奪うようなそれに息継ぎが間に合わないのか、松本くんが苦しいと背中に手を回して叩くけど。
ごめん。止まらない。
「…ちょ、まっ…ん、っぅ、」
息苦しさに声を漏らした瞬間、薄く開いたそこに舌を滑り込ませた。
驚き、無意識に押し返そうとする松本くんの舌を絡め取ると容赦なくキスを深めた。
どのくらいそうしていただろう。
唾液が顎をつたい、それを追いかけて首筋に唇が触れたときだった。
「さ、櫻井さ…、ま、待っ!」
「……」
聞こえてる。だけど止められなくて。
そのまま唇を下げて鎖骨に吸い付いたと同時に服の裾から手を入れると、松本くんの背筋が仰け反った。
「っひ、っ…、や…ぁ、櫻井さ、んっ!」
その声にハッとして体を離すと、松本くんは目に涙を浮かべて震えていた。