花乃という人
 
めったに笑わないし泣かないと陽大に評された花乃ですが、かすかな笑顔は見せているときはあります。

 

花乃は僕の親友と言われた時

陽向によい離れができたとねと言われた時

陽大の射をせがんで見ている時

練習中「三年後に待ってるよ」と言われたことを思い出してにやけた

 

水野の指導中自分の射を取り戻すことがでた時、陽大は「笑顔を見たのは初めて…」と言っています。(おや?と思いますが置いておいて…)

雛さんがそういう機会を作ってくれたような、との花乃の言葉に「…どうかな」と否定的な陽大の返し…

 

なんかぐっとストレスがたまるというか、

モヤモヤが伝わってくるというか

インハイ優勝しても「嬉しくて」と言ってはいるものの普通の顔の花乃、

その花乃を笑顔にさせたのが雛さん

その流れで 雛さんを好きだったろと言われたら…

(花乃は恋愛対象として言ったわけではないが)

頭突きしたくなるかも、なんでそうなるって

 

(陽大の思いの起点が親友って言ったら笑ってくれた時、自覚したのは石ノ川中の時とした場合で書いています)

火事の時の陽向に見せたキスをなぞらえてはいたのだろうけど、ふりだけじゃなくて、頭突きをしたのは陽大の気持ちの表れかと

 

 

意外と笑顔を見せている花乃ですが、涙を流したのは最終話だけ。

何度か可愛いとは思ったことのある花乃ですが、綺麗…と思う

弓を引く花乃を、陽大はこんな風に見ていたのではないか、そんな気持ちになりました。

 

 

読み返せば、花乃への好意を陽大はたびたび表しています。

石ノ川中との練習試合「花乃の配体は練習で見てきたから覚えた」 って、花乃ばかり見ていたってこと?(実際見られてやりにくそうな花乃)

水野に学祭前は会えないと言っておきながら、疲れているのに花乃と弓を引きに行ったり、拾い上げればきりがない。

しかし親友としてとしか花乃には伝わらない。

 

 

自分一人が正解でもしょうがない状態

正しく伝えていても、相手に正しく伝わらないと意味をなさない「言葉」の難しさ

 

 

雛の様子が前とは違って距離を置きたい…と思っていたり、水野を評してあっさり約束を破るような人とは思えなかったと言ったり、意外に人を見る目があるのですが、事陽大に関しては見ているようでちゃんと見えていない。

 

花乃は陽大が雛を好きだとずっと感じていました(雛も火事前は)。

最初の方向が間違っているからいつまでも正解にたどり着かない(読者も?)

部屋のカギを渡しても、そばにいてよと言われても、陽大が自分を女の子として好きだという正解にはたどり着けないのです。

だから花乃を驚かせたいからと言われても雛さんのためだろ、と思う。

徐々に水野の存在、新保さんの言葉に自分のこころの在り様には気がついていたようですが…

 

 

陽大は花乃が正解することを待っていたのでしょう、

自分の思いが花乃にあることを正しく理解されるまで。

 

言葉では伝わらない思いを花乃・陽大・陽向の三人立ちを再現することによって、花乃にしか判らないメッセージとして伝えられ、やっと花乃は陽大の本当のこころがどこにあるか、自分の思いがどんな物かが正しく理解したのでしょう。

(直後は混乱しているようですが…)

 

しかし花乃の気持ちを“恋心”とだけ表現するには、

何か足りない気がしてしまいます。

陽大の気持ちも同様ですが、

失うのが怖くなるほど

愛情も友情も恋心も超えた掛け替えの無い存在であるがゆえに

相手が良く見えなくなってしまったのだと思います。