2024年においても、精神医学はバイオマーカー無し、精神科医の主観によって疾病名も治療方針も投薬も変わる


例えばいわゆる典型的な風邪で、熱がやや高めということで近所の内科を訪れたら、だいたいどこでもカロナール・メジコン・トランサミンあたりを出される

もしかしたらおじいちゃん医師ならPL配合顆粒や抗生物質を出してくるかもしれないが、前者は時代遅れ、後者はそもそもウイルス性の風邪なら抗生物質は無駄で耐性菌を作るので百害あって一利なし、ちょっと頭の良い中高生でも知っている


閑話休題

ということで風邪ならだいたいの場合はたとえ東京でも大阪でも与那国島でも四国の果てでも、保険診療の処方は変わらない

ところが精神科の場合は精神科医の主観で処方が変わってくる


また、精神科薬というのは公然の秘密だが、いわゆる麻薬や覚せい剤に近い性質を持っている

ヘロインやモルヒネはドーパミンをドバドバ出す物質だが、「脳内の神経伝達物質を調節する」とされている精神科薬も、やっていることは大差ない、ただ違法ドラッグより効果がマイルドなだけだ

だから精神科薬を長期連用していきなり止めると離脱症状と称される症状が出てくる、これは違法薬物の「禁断症状」と同じものを指す



そして、これまた厄介なことに、精神科薬の当たりを引くのに平気で数ヶ月〜数年かかる

たとえば抗うつ薬、第一選択は今はレクサプロかサインバルタあたりだが、たとえば初診でレクサプロ5mgでスタート、翌週10mgに漸増して維持量で3ヶ月継続、反応しなかったら漸次中止して他剤でスタート、なんてことをやってると平気で半年はすぐに過ぎてしまう

単剤ならまだ良くて、いわゆる足し算しかできない◯◯だと、平気で抗うつ薬を複数かつ眠剤足して非定型抗精神病薬足して気分安定薬も出しときますとなると、はいあっという間に6〜7剤の他剤処方

そこまでひどい医師もいなくはないが、症状をいうとすぐに薬を足してくる精神科医は少なくない

これもあくまでも本人は「善意」でやっているのでたちが悪い

本心から善意でやられる地獄への薬漬けは珍しくない、井原裕氏も述べている通りだ



さて、こういう医師に限って生活指導ができていなかったりする

飲酒は絶対禁止とか、散歩くらいはしましょうねとか、甘いものは控えめにしてタンパク質や脂質を多めにしましょうとか

なぜできないか?

それは知らないから、医学部で教えられなかったから、後期研修でも習ってこなかったから

生活指導も精神療法も全く習ってこない、教えてもらうのは薬の出し入れと書類の書き方と法的な手続きばかり


そして、スナック菓子やコンビニスイーツをドカ食い、缶チューハイロング缶を常飲して活動不活発、寝る前にカップ麺や菓子パンをドカ食いする肥満患者に薬を足し続けて「なかなか薬が反応しないなあ」と首をかしげ、「難治性」やら「治療抵抗性」やらレッテルを貼る

そもそも薬を出す前に見直すべき点があるのだが、その着眼点すらないこともしばしばだ



患者側にも責任がある

医者は私たちの病を治してくれない、特にこの精神科領域では

いわば経営が行き詰まった企業の経営者とコンサルタントの関係が、精神科患者と精神科医の関係であろう

会社が潰れようが、コンサルタントの懐は痛まない、あなたの会社はあなたが守るしかない、つまりあなたの精神的な不調は最終的にはあなたがなんとかするしかない

もちろん、そのためにコンサルタントたる精神科医や、カウンセラー、家族や友人や同僚や知人、必要なサポートを受ける意義はある

ただし精神科医は信頼してもいいが依存してはいけない、できることは限られているのだから、精神科医は神ではない、あなたと同じただの人間だ


行き詰まった企業の立て直しにエビデンスはあってもいいが必須のものではない

経営者が求めているのはエビデンスではなく、傾いた経営が立ち直るという「結果」だ


同様に精神科患者が求めているのも、エビデンスではなく精神疾患が寛解・完治するという「結果」だ

エビデンスを連呼する医師の根底には自身のなさがあり、患者を治癒させるという結果が出ていればそもそもエビデンスを連呼したりはしない

後ろめたさ、言い訳としてのエビデンスではなく、結果につながるサポートをして伴走してくれる精神科医を患者は求めているのではないか