そよ風 | 蒼空のあかね雲

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詩や、日々思ったことを書きます。

そよ風



通り過ぎた風

ほんのひとときの間

通り過ぎた

そよ風に

今まで生きてきて

積み上げてきたものが

ガラガラと崩れおちてしまった。



ヒトは

人生という砂の台地に

何度も何度も自分の城を築きあげる

そして

何度も何度も

よそ風に押し出されて

海から運ばれてきた海水が

それをさらさらと

崩してしまう。



そよ風が心地よい

砂の城が崩れ去った後は

そのそよ風のゆくえを追いたくなる


気がつけば

そよ風はもういない


そよ風が去った砂の台地は

干からびてしまった。

そよ風が通り過ぎたほうを

見いやっても

何もない。


その遥か彼方に

何があったのだろう


そこに行きたい

行きたくて行きたくて

しようがない



どうしようもない寂しさと

そこへ行くことのできない悲しさ

一人ぼっちなのだと、改めて感じる孤独に

押しつぶされそうになる。


もう一度、風の城に逃げ込みたいのか?

もうそれも叶わない



僕は

そよ風の去った方向に

歩いていくしかない