私は中学校の教員として30年間、様々な学校でいじめの指導にあたってきました。

大きな学校でも、小さな学校でもいじめは起こりました。

記憶の限りでは、年に一件も指導しなかった。ということはありませんでした。

程度の差や期間の差、一人からか複数人からかという違いもありますが、毎年必ずあることだと思っていていいと思います。


指導に苦慮したのは新1年生、入学時にクラスを分けているとは言え、今までさまざまなトラブルを抱えていた両者が仲間を巻き込んで敵対し、力関係に差が出てくるといじめに発展します。

これは、「小学校の頃は逆にやられていたんです。」や、「やり返してはいけないんですか?」と保護者も巻き込んでのトラブルになります

中学校では、いじめ法について説明し、どこかで一度リセットして、生活し直さないと永遠に終わりません。

また、2年生も3年生も、体育大会や合唱コンクール、修学旅行など、友達の取り合いになりかねない行事を機にいじめが始まることもあります。表立ったトラブルにならなくても、物を切られたり、壊されたり、隠されたりすることもあります。


特に、授業終了から放課後,部活動が始まるまでの時間に起こりやすいです。

そうしないように帰りの会が終わって10分経ったら先生が教室の鍵を閉める。と徹底している学校もありました。

また、悪戯などが起こった時間が特定できるよう、放課後必ず、教室を回って変化がないか確認することが多いです。

朝,子どもが登校して、教室やトイレなどで悪戯などがあっても昨日の放課後か今日の朝なのかわかりません。

こうなると抑止が効かなくなるので、先生方は昨日の放課後にはなっていなかった。今日の朝と考えられる。と示すことで一定の抑止力になります。


こうしてみると、先生方が授業以外に物凄く生徒の安全や安心に力を注いでいることがわかります。

世の流れは、放課後の鍵閉めや部活動なども外部委託になるような空気感がありますが、次の日、いつ起こったか全くわからない破損や悪戯などがあっても、確認できていないので指導は後手後手になり、教師の目の届かないところでいじめも含め色々なことが起きると私は危惧しています。


今朝のニュースで学級の席替えをくじ引きでしている。これでやれば便利。という記事が出て驚きました。

今時、学級の席をくじでランダムに決めている学校があるとすればよほど平和で仲が良い学級だと思います。

あの人の隣が嫌とか、わがままを言わせないためという意見もあるかと思いますが、そこには教育的な配慮を全く感じません。


小学校はよくわかりませんが、中学校では生活班を作り、それを月毎に回していき、班内は自由に決めてもいい。とか、

班長会議を開いて席を決めることもあります。

どうしても前後左右においてはいけない座席もあります。


実は学校の安全と治安はこうした先生方の見えない努力によって担保されているのです。

それでもいじめは現実に起こっているのです。

働き方改革には大賛成ですが、最も多い残業の理由は生徒指導とそれに伴う問題行動ということを踏まえると、

外部委託も役割や業務内容を明確にしたいと逆にとんでもないことになりはしないかと思います。