「いじめ防止対策推進法が有効に機能しないわけ」についてお話ししています。機能しない根本は、「学校の現状を反映されていない」いいかえると、学校にやれといってもそりゃ無理よ。と言いたくなるところがあるのです。
たしかに、理念も正しいと思うし、毅然として加害児童生徒にあたるということも必要です。
文科省のアンケートには、「いじめの被害を受けた子どもが加害側の子にどうしてほしいか」という調査があります。
子どもの事だからという考えもあるでしょうが、結果は「いじめをちゃんと認めて謝ってほしい。二度としないでほしい」が
ダントツの1位です。きちんと反省し、謝ってほしい気持ちが強いのです。
相手に転校してほしい。とか、違う学級に行ってほしいという回答はほとんどありませんでした。
学校の姿勢としても加害側の子どもも大切な学校の子なので、転校しなさい、や。あなたばもう教室で勉強はできません。
と言うことは、日本の学校文化では考えられないことです。
かと言って、これだけ、いじめの認知件数が増加し、重大事態も増え続けている現状を踏まえると学校のこのような姿勢も
考え直さないといけなのかもしれません。
では、本題に入ります。いじめの加害児童生徒については、「出席停止」にしたり、「一時的に別室で学習させる」のが
制度として設けられています。
「出席停止」はもともと対教師暴力等、自傷他害の恐れがある子どもについての対応としてはじまりましたが、
いじめ法では、この出席停止措置を加害者指導の肝として打ち出しています。
ただ、「出席停止」は実施するまでの要件があり、いじめをした、すぐに「出席停止」にはなりません。
高校なら別ですが、義務教育中の小中学校では「教育を受ける権利」を阻害することは許されないことです。
この相反することを両方、学校に「やれ」というのは現状を全く理解していないと思います。
それは、仮に出席停止にして自宅で勉強させるとしても、教員が毎日家庭訪問をし、課題をあたえたり、勉強を教えたりしないといけないのです。それは義務教育だからです。
だれがどのタイミングでそんなことができるのか?学校にはそんな余裕がある先生はだれもいません。
ましてや民間からの相談員や支援員、学校ボランティアは教員免許を持っていない限り、その業務はできません。
つまり、学校の現状から考えて「実施が極めて難しい措置」なのです。
同じことが別室指導でも言えます。
不登校傾向の生徒と同じ部屋にいてもらうわけにはいけないので、別室を別に用意しないといけません。
そこでも勉強を教えたり、授業をしたりしないといけないので、全く手がたりません。
ひとりならまだしも、3人とか4人とかいる場合には実現は不可能と言ってもいいと思います。
このような措置ができないのに、転校を命じることなんてできるわけがありません。そもそもそれは人権にかかわることで、
学校長が判断できる立場にはありません。
このようなことから制度としてはあるけれども、実際にやれない。という現実が見てて来ます。
文科省調査を見ても、このことは数字として裏付けられています。
じゃあ、実際はどうなのか。旧態依然とした指導と同じで、いじめたと言われる子に事実を確認し、指導した上で学校で謝罪させたり、保護者同士の話し合いをもったりして終わりです。
また、加害者はいじめを認めると進学に影響したり、重大事態になっては大変なので、口をつぐんでしまうこともままあります。
結局、「やってない、言っていない」と言い張れば、よほどの証言や証拠がない限りは学校はそれ以上、調査することができません。いじめ法ができ、世間で注目度があがったからこそ、「やったと認めたら大変になる」という心理から「頑として認めない」というケースも多いと聞きます。
ですから、加害児童生徒に「行為の有無」を確認する際は、学校は慎重に周囲から聞き取ったり、証言を集めた上でないと、
加害児童生徒と言われた子には聞かない。のが生徒指導の鉄則です。
きっと、このような法律が機能しないのは、学校の現状に合っていないからというしかありません。
では、機能させるにはどうしたらいいのか。
実は、とてもシンプルに解決する方法があります。
次回、お話しします。