自死の要因がいじめと考えられる事案について、第三者委員会の報告書が出されています。

もう、ここ数年で数十件の調査報告が挙げられています。

結果は、「いじめが要因と判断される」と言うものや「いじめが自死に影響を与えた可能性があるがいじめが要因と判断できない」、

また、「複数の要因があり、いじめだけが要因と判断されない」など、理解しずらい結論が示されています。

利害関係のない有識者が調査をし、結論を出すことはとても大切だと思いますが、これが真実で結論である。と確定するわけではないし、

その責任も問われません。臨床心理士や精神科医,弁護士、教育評論家等の有識者で構成されますが、学校現場のことは当然、十分にわかるはずもなく、人間の心理や病気、法律のプロフェッショナル出るので、いじめへの理解も深いとは言えません。

だからこその第三者委員会ですが、批判しているとか軽視しているとかではなく、「一つの客観的な見解」であって、判決ではないのです。

そもそも、自死事案について、本人の心理状態に変化や推移は推認できるものの、本人の心は本人しかわからないし、本人もわからなかったかもしれないのです。

そのような意味では、自死の要因をはっきりさせることは不可能なことです。

そして、2年近くかかって出す最終的な落とし所としては、「教育委員会や学校の対応は十分ではなかった」となります。

誤った指導であれば批判されて当然ですが、その時その時で仮に当たり前のことをしていたとしても、もっとこうしたらよかった。とか、

こんな方法もあったのではないか。と言われても「そうかもしれません」としか言えないし、それが十分でなかったのではと言われたら、反論はできません。最終的に実態のない教育委員会や学校という「組織」が悪者になるだけで、組織内の個人が罰を受けることは基本的にありません。ですから、自死に関しては、条件が許せばですが、法的な判断を求めることが個人的にはいいと思います。


一方で、この第三者委員会は「いじめの重大事態」に関してはとても有効だと思っています。

今までは、被害者の声があまり届かない現状がありましたが、先生方だけでない方々がしっかりと話と苦痛を受け止め、一定の判断をすることは、ものすごく意義のあることだと思います。

しかし、いかんせん、期間が長くかかるのか欠点です。

委員の選出から会合を重ねますが、通常に業務もされている方々なのでメンバーが揃う日も限られてきます。

そのような事情もあり、1年以上かかるのが通常です。

小学校5年生が対象だと、結論が出る頃には中学生になっている。もう、別々に学校に通っていることもあることです。

何かもっとスムーズに少なくとも半年以内で集中的に結論が出せないか、と思ってしまします。


実は、社会に影響が大きく、緊急な心のケアや対応が必要な事案が発生した場合には派遣される組織があります。

それは、CRT(クライシスレスポンスチーム)と呼ばれます。

もともとは、アメリカの学校で銃の乱射事件があり、多くの犠牲者が出た事案の際に組織されたのが最初で、複数のカウンセラーや警察、事案に対応する行政や教育委員会等の職員、医師、などがチームをつくり緊急支援に入るのです。

身体的なケアはもちろん、心のケアが必要な人をトリアージ(優先順位付け)をして、一気に支援を進めるものです。


日本では、大阪の小学校に不審者が侵入,児童を殺傷した痛ましい事件などで派遣されました。

私も重大な事案の際、カウンセラーや行政機関、関係機関等と現場になった学校に入り、児童生徒の支援や心のケアなどに何度か携わったことがあります。


そのような意味では、第三者委員会も全国をいくつかに分けておき、その中に、いざという時に外部調査委員会として介入し、調査をするといいと思います。

CRTは事案発生後、3日、長くても5日の緊急支援であることが決定的な違いですが、最初の1週間くらいでかなりの調査を集中的にすればその後の会議期間の短縮が可能になると私は思います。


私には何も権限もないので、ただの呟きにしかなりませんが、どなたかの目に留まり、

第三者委員会が開かれ安堵しているけど、どのような結論が出るのか、心配し、それまでの間、長く辛い時間が続きます。

丁寧な調査は必要ですが、全国各地で起こっていることを考えれば、すぐに動ける、駆けつけられる有識者を事前にチームとして立ち上げておくアイデアはあながち間違いではないと思います。