フリースクールアリビオの大石です。

今日は6月2日、昨年7月に開校したのであとひと月足らずで一周年です。

3月末に30年以上勤めた教員を早期退職し、3か月後にフリースクールを立ち上げました。

その原動力となったのは、不登校傾向の生徒が学校や関係機関から十分な支援を受けていない。

学校現場で感じることが多かったからです。

じゃあ、自分だったらどうするか。人様を批判することではなく、自らが人生をかけて挑戦することが必要だと思いました。

 

この11か月で本当にいろいろな人と出会い、いろいろなことがありました。

家族には「せっかく辞めたんだからすこしゆっくりしたら」と気遣ってもらいましたが、全力疾走といっていいくらい突っ走ってきました。「すごいね。応援するよ」という言葉をくれる人もいましたが、「あと定年まで6年もあるのにもったいない。お金はだいぶ損してるよ」とか、「収入は激減するよ。っていうか儲かるの?」などと言われたこともたびたびありました。

 

確かに、毎月の収入は10分の1以下になり、貯金を切り崩しての生活が続いています。

幸い、家族が協力して励ましてくれるのでなんとか頑張れています。

 

私が長く教員をしてフリースクールをしたことが真新しかったのかどうかわかりませんが、新聞やテレビの取材ももう何回も受けましたし、ラジオの30分番組のゲストとして招いていただき、私の人生について話をさせてもらいました。

また、「全国フリースクールガイド」という書籍を発行していらっしゃる「学びリンク」さんの取材も受け、全国紙に大きく取り上げていただきました。そのほかにも、長崎市の広報誌である「広報ながさき」に大きく取り上げていただきました。

後は、PTAの講演会で話をさせていただいたり、小児科のお医者様方にお話をさせていただいたりと、

充実していました。今年度も、11月には、長崎市の中学校と高校の生徒指導を担当するすべての先生が参加する研修会で、講師として話をさせていただくことになっています。

 

相談等では今まで50件以上の相談を受けました。不登校、いじめ、発達の心配など子の「育ち」に関する相談や、小中学校の先生方からの相談も決して多くはありませんが、お受けすることができ、アドバイスをさせていただきました。

また、アウトリーチ型の支援もはじめたりしていますが、やはり、「家から出て、家族以外の人に会うこと、安心して過ごせること」が一番必要な土台だと感じました。

募集は続けますが、効果を充分に考えた上でお受けしていきたいと思います。

 

さて、肝心の不登校の子どもさんへの支援ですが、学校復帰ができたり、教室で授業が受けられるようになったり、

学校と連携して教材を共有化することで何を学習すればいいのかが明確になり、本人の頑張りを学校が認めてくださり、「出席扱い」だけでなく、学習の評価に反映させることができました。全日制の高校に進学した子もおります。

この春に2人の子が巣立っていきました。

本当に未来への希望をもってそれぞれの春を笑顔で迎えられたことは、私にとってもこの上ない喜びとなりました。

 

すこし、専門的な話になりますが、立ち上げる前から、別室登校や自宅学習、学校外施設での学習がどんなに頑張っていても学校に認めてもらうようにならない上に、高校入試の際にウエイトが大きい「評定」がつかないことで、ものすごく不利益を受けているとに日々感じていました。

学校と学校外施設が連携し、学習教材を共有化することで、学校の指示に基づいた課題を行ったり、定期テストを学校外施設で受けたりすることで、個人内評価であっても、すべての教科でなくても、5.4.3.2.1の評定がつくようになる。という信念を私はもっていました。

しかし、現実的には全国的にも見られない取り組みです。

(全国のフリースクールをたくさん回っていらっしゃる方が言ってくださったので本当だと思います。)

 

私が「絶対にできる」と思った根拠は「令和元年10月25付け、文科省の通知、不登校児童生徒への支援の在り方について」に、「児童生徒が学校外で学習支援を受けている場合、学校は、その取り組み状況や施設への連絡や訪問をすることで、

積極的に情報を集めなければならない。また、そこでも学習が「学校の教育課程に準じているもの」であれば、それを評価することで学ぶ意欲や頑張りを認めることになり、意義深い。

と書かれています。

要するに、学校が主体となり、子どもが学校外施設で学んでいる内容や進捗状況を積極的に集めなければならない。

学校が学校外施設に働きかけ、連携しないといけない。と言っているのです。

 

だから、私の勝手な考えではなく、文科省がそう言っているのです。

ご存じの通り、学校は忙しいです。そこで、本来学校がやるべき関係機関との連携や情報交換等を、

いっそのこと全部こっちからやれば、うまくいくんじゃないか。と思いました。

 

11か月たって、これが現実に「できる」ということがはっきりわかりました。

これだけでも私が挑戦した価値があったと思っています。

 

ただし、学校外施設で「学習に重点をおく」ようになるには、さまざまな段階を踏まねばなりません。

心身ともに疲弊している子どもに「さあ、勉強しよう」と言ってもできません。

できるようになるまでに時間がかかりますが、きちんと支援をしていけば、学習ができる状態まで持っていけると思います。

 

この証明できたことをいろいろな場で訴えていますが、あまりいい顔はされません。

行政の方も同じような施設の方もです。なんでかなあ。とずっと思っていましたがある人がこんなことを教えてくれました。

 

「そこまでやれる人はそうはいない。また、学校と綿密に協力して事業を進めていきたいと考えている人は最初からフリースクールなんかしないよ。学校とは別の理念や考えがあっての活動なので、全部があなたと同じになるのは無理だし、あなただからできることもあるんですよ。いろいろな選択肢があって保護者が選べばいいのじゃないの。」

 

それはそうだ。と納得しました。もちろん、他の方々に、私のようにしたらどうか、という気持ちはもっていませんし、我関せずですが、「評定がつかないことは、不登校でご心配な保護者が必ず悩みとしておっしゃいますよ。」と全国を回って相談を受けている方から言われたのでそうなんだろうな。と思います。

私は自分の考えを信じて貫くだけです。誰がなにをやろうと私には関係ないことです。

 

私のやり方にニーズがある限りは続けていきたいと思っています。

それから、昨年から、このブログを1年以上、毎日書き綴ることができました。

これも毎日読んでくださったり、コメントを下さった方々の応援のおかげです。

 

これから、次の1年に向けて、さらに子どもたちの自立や自己肯定感の回復、向上に結び付くような取組を頑張りたいと思います。