今日は,小中学校における「学力」についてお話しします。

今から20数年前ほど前の学習指導要領で、知識偏重、偏差値教育(テストの点数を偏差値で表し受験の際の尺度とするもの)からの脱却に踏み切りました。つまり、テストの点は「学力の一部」としたのです。実際にはここで「テストの点=学力」「入試にはテストの点さえ高ければいい」という考え方が否定されました。

しかしながらこれ以後も、テストの点を上げるために一生懸命取り組み、さまざまな支援施設に通ったり、家庭教師やオンラインなどで、

頑張っています。これがいけないということではなく、「大切だけど、これが全てではない」ことを知った上で努力してほしいです。

こう信じておられる保護者の方や大人の方は非常に多いので、学期末には「何でテストで70点なのに3の評定なんですか?」とか、

「我が子より点数が低かった子が何でうちの子より評価が高いのですか?おかしいと思います!」と学校に来られたり、電話で不満を言われる保護者も少なくないです。

教科担任としてこの評定をつけた根拠はしっかりあり、説明責任もあるので根拠を説明します。

観点別に点数化して評価をし、三観点の到達度により評定をつけると言うことを説明すると納得されます。


また、三者面談などで、lこの考えがどうしても抜けない方は、「〇〇高校は何点取れば入りますか?」と聞かれます。

当日のテストの点と3年間の評定の合計が基本的に50%ずつで判断され、面接等が加味されて合否が決まるのですよ。というと呆然とされることも多いです。このような意味では高校入試の合格要素は中学1年生からすでに始まっていると言えるのです。


話を学力に戻します。前述した学習指導要領の改訂で、「学びたいという意欲や関心」も学力として評価する。ということが決められました

そのため、先生方は、挙手の回数を記録したり、毎時間の授業の振り返りカードの記入と回収など、関心、意欲を計るための取り組みが増えました。

また、同時に「主体的に子どもが考える授業」や「対話的な学習」を仕組み、この活動を大きく評価するようになりました。

定期テストも「思考力や判断力」「学習意欲を問う問題」を意識的に盛り込むようになり、「100点満点のうち何点」という採点とは別に「思考力30点中、何点か」など細かく採点するようになりました。

もし、評価がテストの点をつけて順番に並び替え、5段階で区切って評定をつければ、こんなに楽なことはありません。

授業もテストの作成,採点もものすごく大変になりました。


国が「学力向上」といっていますが、この「学力」とは今お話しした内容なのです。

ある研修会で「『全国学力学習状況調査』は学力の一部を測るものなので意味はない。」と発言された方がいました。

それに対し講師は、「その一部の学力ですら上げることができない先生方がどうして全ての学力を上げることができますか?

学力の一部に違いないがその一部を上げる取り組みを考えていただくことがこの調査の本当の目的です。」と言われました。

全くその通りだと思います。


今日の結論は「テストの点が学力の一部です。入試は総合的な学力で決まります。しかし、20年以上経っても、「テスト点数主義」は

変わっていない。多くの人が思い込んでしまっているのです。

この現状を知った上で、全ての教科を大切にし、満遍なく頑張ることが結局一番の入試対策になるのです。