ニュースによると、大分県の教育委員会が令和7年度の教職員採用試験の募集時期を5月に早めて、
教員のなり手不足に対応するようにしました。
このほど、募集状況を公表しました。
採用試験に挑むのは、1200人余り、昨年度より300人程度減少しているそうです。
競争倍率は2.6倍、二十年ほど前は100倍近いという中学校の教科もあったので、今はものすごく採用される可能性が高くなったと言えます。
採用試験を5月に前倒ししたということで、例年7月に行われていた一次試験が早く実施されるようです。
受験者にとってこれがどう働くのかはよくわかりません。他の企業より早くきまるのだとすると、
「教員になる」という気持ちがより固い人が受験するのかもしれません。
もしそうであれば嬉しいことです。人数が減ったにしても本当にやる気がある、意思が固い人が受けてくれたらいいなと思います。
ただ、2.6倍という数字は低いなと思います。
もちろん、「だれでもなれる」わけではありませんが、なり手不足だから採用する。という判断基準が低くなることだけは避けなければいけないと私は思います。
それは教育の質が低くなるからにほかなりません。
「授業力」「統率力」「生徒指導力」という『教師の指導力』が十分にあることはもちろん、
大変だけど、子どもと関わる仕事がしたい。という夢と愛情が不可欠です。
教員のなり手不足が問題視されるようになったのは、なり手が少なくなったからだけではありません。
大きな原因のひとつが「休職や病休をとられる先生」や「教員をやめる人」そして「定年退職者」が多いからです。
休職率や離職率は、教員は多いです。
せっかく採用しても、心を病んでしまったり、辞めざるをえなかったりする先生が多いことは大変な問題です。
なにせ、子どもたちがダイレクトに影響を受けるからです。
「定額働かせ放題」と揶揄される「教員の働き方改革」は『定額』を数%上げることで終わったと言っても過言ではないと思います。働く時間ややらなければならない仕事は一向に減らず、むしろ年々増えています。
いじめや問題行動がおこれば、放課後の時間もそれが優先されます。
子どものことなので当然と言えば当然ですが、いじめや問題行動が程度の差はあれどの学校でも起こります。
また、部活動の地域移行も進みません。
後、2,3年で形になるにしても、先生方が土曜日の部活動がなくなるだけで、平日は今のままです。
5月はもう夏時間なので、子どもが学校から出る完全下校の時間は19:00です。
子どもをほっといて帰るわけにはいかないので、少なくともこの時間までいるだけで、2時間の残業です。
部活中は職員室で仕事はできないので、部活動が終わり、1時間のこったら3時間の残業です。
毎週、15時間の残業、月、5週として。75時間の残業、もう法律違反の範囲です。
ですから、管理職に職朝で、「早く退庁しましょう!」と促されます。
先生方は好きで残っているわけではないので、モチベーションもダダ下がりです。
このような毎日をずっと送ると考えると、転職や休職を考えるのもおかしくないと思います。
「多く採用すること」も大事ですが、働きやすく、教員の仕事を精選し、先生方の健康を守らなければ、
義務教育はもちません。そうなると子どもたちも大変な状況になるのです。
しばらくは、教員の志願者も休職や辞められる先生も変わらないと私は思います。
今からの学校に必要なのはまちがいなく、マンパワーです。
それにはお金がいるので、次代を担う子どもたちを育んでいくためには、教育にもっとお金をかけないといけないと思います。
このままだと「義務教育の危機」です。