昨日、悲しい事案が起きたことをお話ししました。

まだ、わからないことが多く、「いじめ」が関連しているかどうかも確認ができないので、あれこれいうことは控えます。

しかし、亡くなった女子生徒の自宅で見つかった紙に「仲良くしていた人にあんなことされて嫌だった。

裏切られたら何も信じられなくなった」と苦悩が書かれていたことは事実です。

 

仮に「いじめ」が要因のひとつであったと仮定して述べます。

 

仮に、そうであれば、行政、学校の「いじめの防止策」は万全ではなかったということになります。

「いくら防止対策をやっていても、起こるときは起こる。」ということも当然あります。

すべて防ぐことは難しいことであることもわかっています。

しかし、私がさまざまな場で訴えているのは、「いじめ防止の授業をすべての児童生徒を対象に、年に1、2度でいいので行ってほしい。先生方の負担が大きいのなら私たちが出向いて出張授業をします。」ということです。

加えて、私は「いじめ相談も相談を受ける人(私)の情報を公開して信頼して頂いた上で、無料で受け付けます。」とも言っています。

 

国や各自治体の教育委員会は、いじめについて、「どの学校でも、どの子にも起こりえること」と共通して言っています。

まさしくそのとおりで、「いつどこで起こるかわからない重大なこと」なのです。

 

しかしながら、いじめ対策を見てみると、NPO法人やゲストティーチャーを招いた「いじめのワークショップ」とか、各中学校の生徒会長が集まって、いじめ等の学校の問題について話し合い、それを各中学校で広げるという活動、「心を見つめる教育週間」などの他、人権学習、平和学習、道徳の時間等で充分である。と言われる行政の方がほとんどです。

 

これは私も教員として長年やってきたわけで否定することもないし、むしろ力を入れてやってきた自負があります。

ただ、私が言っているのは、いじめに特化した教育の「的」と「対象」が必要。ということです。

言い換えれば、どの学校でも、すべての児童生徒に「いじめに特化した授業」が必要です。ということです。

 

実は、「いじめはよくないことだ」と言う質問に対して県内の子どもの回答はほとんど100%近い子どもが「そうだ」「そう思う」と答えています。つまり、「いじめはいけないこと」「いじめはだめなこと」とわかっているのです。

しかし、現実に身の回りで起こっていて全国で62万件が認知されているのです。

 

先ほどお話しした外部の方を招いた「いじめのワークショップ」が県内のすべての小中学校で行われているのならわかりますが、

実際に実施されたのは全小中学校の20%に満たない実施率です。

また、生徒会長が集まるのは年に1回の夏休みの行事です。意義のある活動だと思いますが、すべての子どもたちで共有することは難しいことです。人権や心を見つめる習慣も、「命の大切さ」の道徳授業、「差別を知る授業」「人権を考える授業」

「被爆者や被爆者の体験を受け継ぐ人の話を聞く」などは、とても重要な活動ですが、

ズバリ「いじめに特化した授業」はほとんど実施されていないのが実情です。

 

学級や学年集会などで年に何回もやって考えさせている。と言われる方もいると思います。たしかにそのとおり、しかし、

それは意図的に計画されたものではなく、例えば学級や学年でいじめが確認され、それを全体指導すべき時に生徒に指導するものではないでしょうか。つまり、突発的な、必要に迫られた、対処療法的な、指導であると思います。

 

子どもたちの平時の授業の中で、「どんな言葉や行為がいじめにあたるのか?」「いじめを受けたら心や身体はどう反応するのか?」「そしてどうして命を絶ってしまうほど苦しみ悩むのか?」ということを意図的に仕組んで「いじめに特化した授業」を

行う必要があるのです。

 

「いじめはだめ」とわかっている。でも、自分はAちゃんが気に食わない行動をしたので、周りの人にAちゃんの悪口を言った。

この子にはいじめの自覚がなかった。ということは学校ではよくあります。

「何がいじめで、何がけんかなのか」「遊びといじめのちがいは何か」等しっかりと教え込む必要があると思います。

 

ある自治体で、重大事態が複数発生したこともあり、すべての小中学校で「いじめに特化した授業」を行っています。

できないことはありません。

学校行事でも総合的な学習の時間でもできます。

 

ちょうど10年前にいじめが要因と確認された本件の自死事案の報告書を読み返しました。

また、全国のいじめ自死の第三者委員会の報告書も読みました。

 

どの報告書も学校の対応のまずさに触れるとともに、「学校や教育委員会に対する提言」が記載されています。

すごく大切なことが書いてあるのに、全国の先生方に共有されてはいません。

自分の県で起こった事案の報告書すら読んだことがない方がたくさんおられます。

ましてや、他県の報告書などは、よほど興味がないと見ないと思います。

 

「ネットに公開している」=「みんな読んでいる」 ではありません。

そのことに強い興味を持ち、ネットで検索し、HPにたどりつかないとみられないのです。

 

それを「HP」に載せているだけで、周知をしていることにするのはよくないと思います。

だって、私のHPに来ていただける人は、偶然ということはほとんどないので、いじめや不登校に関心をもっていただいていたり、お子さんのことでや悩みを抱えておられたりしている人が、「フリースクール長崎」や「長崎県フリースクール」とかで検索し、その中のたくさんの情報の中から選んでいただいて、やっと読んでもらえるのです。

 

ここのところを理解していただきたいです。

 

「おこってはいけないことがおこってしまった」「二度とないよう最善をつくします」というのはいつものセリフです。

二回も起こったら大変です。1回でも起こったら終わりなのです。

 

だからこそ、すべての児童生徒にいじめに特化した授業が必要であると思います。