長崎市では昨日、桜の開花宣言があり、私の通勤路の桜も1分咲きといったところですが、かわいい桜が咲いています。

風も春の香りがしてとてもさわやかな気持ちになります。

 

3月ものこり4日、10あまりで新学期です。小中学生にとっては新しいクラスや担任、また、新しい進学先へと生活空間が新しくなります。登校がむずかしかったり、別室に登校していた子たちもそれぞれ期待と不安の気持ちをもっています。

「どんな人と一緒かな」「どんな担任の先生かな」「高校はどんな雰囲気かな」という期待もあるし、その逆で不安もあります。

「朝から先生が迎えに来ると言ったらどうしよう」とか、「中3になったから進路もあるし頑張らないと」と言われるかもと

子どもは思い、不安を感じます。

結局、始業式を迎えないと全く分からない「予期不安」なのでなってみないとわかりません。

 

ただ、経験上言えることは、先生が「健全な学級集団をつくる」のは最初の1週間でほぼ決まります。

この1週間が1年間を決めると言っても過言ではありません。

それは、学期のスタートがどんな生活か知る必要があります。

 

まず、始業式で校長先生が「今年も目標とがんばってほしいこと」などをお話しします。

最初が肝心ということで、司会の教務の先生も生徒指導担当の先生もみんな気持ちが入り、特に中学校では緊張感があります。

その後、先生方が一列に並び新しい学級担任、教科担任の発表が教頭先生に読み上げられます。

生徒はよく知っています。誰が担任か、誰が教科を教えるか、とても関心があります。

いきなりの発表なので子どももリアクションします。

「発表されうれしそうな顔をする子、がっくり肩を落とす子、うんうんと納得する子、えーっと言ってしまう子」などさまざまです。いろんな気持ちをもったまま体育館を出て、新しい教室に入ります。次の授業がはじまる10分くらいでだいたい、数個のグループに分かれ、談笑したり、トイレに行ったりします。

そして迎えた「学級開き」(はじめての学活)で担任の決意や守ってほしいことなどを話します。

ここで、しっかりと集団を指導できるか、まず、試されます。そのため、私はこの学級開きの準備は時間をかけて準備していました。その後、学級の時間がずっとつづきます。

「生徒会専門部決め」「学級議員決め」「生活班決め、班長」「給食当番決め」「掃除場所と仕事決め」「学級目標決め」などがあります。実に多くの決め事があり、しかも次の日から給食がはじまるので、暫定的にでもきめておかないと大変なことになります。ここで要注意なのが「すべて子どもにまかせ、話し合いで決めさせる」ということです。

このやり方は私はよくないと思います。なぜか、それは例えば生活班決めなどになると「人の取り合い」「友達の取り合い」

になりかねず、また、結局決まらなかったら、話し合いと言いながらも、「誰かが辞退するまでまつ」という時間になります。

「じゃあ、わたしいいです」と誰かが言うのを待つのです。

するとだいたい、発言力が弱い子や弱い立場に立ちがちな子が辞退しないといけない雰囲気になってその子は「辞退します」

そして、別の班に行こうとしてもその班の人が嫌な顔をしたり、えーとか言うとその子は「心理的にひとりぼっち」になります。

これは、よく学校で見られるいじめの形態です。民主的で子どもたちで話し合って決めたという一見、耳障りのよいことなんですが、実は「弱い立場の子が我慢しただけ、させられただけにすぎない」ことも多いのです。

明らかに担任の誤った指導です。

やりかたはいろいろありますが、これは一番やってはいけないやつです。最後はじゃんけんでとか、決まった後で誰かが泣いている、怒り狂っているなどは「健全な集団にはなりません」

ひらたくいうと、「人の好き嫌いで集団をつくらせない」ことです。一つ認めれば「○○ちゃんと一緒がよかった」と必ず不満が出ます。たくさんの不満がでてくるとその不満は担任に向けられます。そしてその不満は反抗に結び付いていくのです。

 

このようにしてたくさんの決め事がある初日、役割等がきまらなかったら、暫定的に「出席番号で割り振る」

等の策がとられますが、子どもに任せっきりにしているかぎり、だれもが折り合いをつけ、納得するようにはできないのです。

だって子どもですから。だからそこには担任の「指導力」がいるのです。

 

この1日の学級でのやりとり、先生のまとめ切れなさ、発言力の強い子に影響されるクラスメイトを感じたとき、

「この学級楽しくない」「こんな学級嫌だ」と子どもは思うのです。

この心理状態が、初日だけでなく、1週間、1月、1学期と続いたら、もう心身は疲れ、エネルギーは枯渇します。

自分が何か被害を受けなくても、「ちゃんとしてない、あるべきすがたではない」ことに絶望するのです。

 

学校の先生にとって、この学級開きほど大切な時間はないと思います。

少し長くなりましたが、もし、この学級に前年度不登校傾向だったり、別室登校だった子がやっとの思いで登校して教室に入ったとしたら、「緊張」「疑問」「不満」「心配」「落胆」という感情になるのは当たり前です。

 

もちろん、こんな初日を迎えるのは最悪ですが、少なくはありません。

このことを踏まえて、始業式の前後は声掛けや関りを持ってほしいと思います。

 

先生の悪口みたいになってごめんなさい。でも、そんな指導は適切ではなく、子どもが苦しむことになります。

真の支援のためには学校で何があっているのか、どんな状況なのか、お子さんに聞きながら関わっていくことが必要だと私は思っています。