一昨日、池上彰さんの番組で「いじめ」が取り上げられました。

最近の日本の風潮を踏まえてか、「フランスはいじめを犯罪とし,厳罰化している」「強制的に転校させることもできる」

「これだけ日本でもいじめがあるのだから厳罰化せよ」と言う意見が出されていました。

国内でもそのような考えが大きくなっているのは確かだと思います。


ただ、フランスの考えを日本にそのまま当てはめるには無理があります。

この点を解決せずして、日本における日本の厳罰化はかないません。

両国の違いについて比較をしてみると次の点が挙げられます。

○ いじめの定義が違う。日本は1回でも相手から言われたりされたりしたことで身体的、精神的苦痛を感じたら「いじめ」となります。

 しかしフランスは、「クラス内で一人以上の生徒が意図的に繰り返し攻撃するもの」としていますので、いじめる側が、仲間と申し合わせ て、わざと嫌なことをしたり、したりすることを繰り返す。」となります。

 もちろん、日本でもいじめになりますが、確信的で反復性の高い悪質なものに限定されます。

○ 次にフランスで刑事罰を与えられる、刑法対象年齢は13歳、中学1年生程度となります。しかし、日本は年齢は以前より引き下げられた ものの14歳からで中2から中3にかけての年齢となります。

 この年齢に達しない子どもは責任能力なしと判断されるため、児童相談所への通告、または家庭裁判所に保護観察か、児童自立支援施設入 所や少年院送致などの処遇となりますが、保護更生が主な目的となります。


この二点が大きな違いで,フランスでは意図的に反復したいじめは13歳以上は犯罪行為として処分されるため、並行して学校が転校を要請できる。ということになります。一方、日本では14歳以上の犯罪と考えられるいじめは刑事事件になった場合に限り、刑事罰を課せられる可能性があり、一般の犯罪と同じ処遇になりますし、14歳未満でも児相への通告等が行われればそれなりのペナルティーが課せられる制度です。

また、いじめ防止対策推進法では、加害者は出席停止や別室での学習を学校長が行うことを認めており、被害者に学級復帰に必要な場合は

クラス替えを行うことも認められています。

そう考えると、フランスが毅然としていじめに対処しているが日本は甘い。というのは少し違います。

ただ、日本は法律や制度はあるけれど,その運用が充分なされていないこと、また、この制度が、先生方、保護者、そして子どもたち自身が

よく知らないことが最も大きな課題だと思います。

この知らないこと、認識不足がとても深刻な被害や二次被害を生んでいます。


これを解決するためには、それこそフランスでやっているような「いじめ防止教室」を全ての学校で実施すべきと思います。

何がいじめで、いじめをしたらどうなるのか?どんなに人として醜く卑怯な行いなのか、小さい頃から徹底して教え込むことが必要です。

私は地元議会にこのことを陳情しました。

しかし、いじめ教育は「あらゆる場面でやっています」と言うことでした。確かに「いじめワークショップ」的なことをやっている学校もあったのですがほんのわずかな学校での実施です。


年に一回でも学期に一回でも、「いじめに特化した学習」が必要だと私は考えています。

私は要請があれば、学校に行って出前授業をします。

アナウンスはしていますが、これから要請があるのかは分かりません。

特に出前授業でなくても、先生方が学年集会等でしっかりと指導する。ことができていれば確実にいじめが早期に発見され、対応できます。


「いじめは許してはいけない」と言う問いに「はい」とこたえるこどもは100%に近いです。

しかし、いじめってどんな種類があり、自分がしていることがいじめであると自覚している子は意外と少ないです。

「いじめ」とはなんなのか? 具体的にどんな言動があるのか?

どんな気持ちにさせられたら先生に言うべきなのか? 

子どもたちに伝える必要があります。


法律の改定やいじめの定義に見直しが必要ないじめの厳罰化も大事ですが、その前に現状の制度や法律を国民全員が認識できるような周知をすること、子どもたちにいじめ教育を徹底して行うことが最優先だと思います。