ここ1月くらい、「いじめ」により自ら命を絶った小学生から高校生までの事案が全国的に報道されています。

数年前から報道がなされ、第三者委員会の報告書ができた。とか、報告書の黒塗り部分を訂正した。とか、

あらためて「いじめ」が確認され、自殺との因果関係が認められた。などの報道が本当に多いです。

 

思い出すだけでも「旭川市」「札幌市」「町田市」「福岡県宗像市」「群馬県前橋市」そして「宝塚歌劇団」の事案など、いくつもでてきます。全部ではないかもしれませんが、多くの事案で共通してみられるある傾向があります。それは、

 

① はじめは、学校等が「いじめ(ハラスメントを含む)」はなかった。確認できなかった。と発表してしまうこと。

② 「被害者によりそう」という姿勢どころか、「加害者や他の子どもを守ることを最優先してしまう」という学校や教育委員会 

  等の対応が見られること。

③ 時間がたってから「いくつかのいじめが確認された」と後手後手の対応と発表をすること。

④ 第三者委員会では「いじめがあった」ということは確認したが、「自死」との因果関係は「不明」「確認できなかった」とい

  うことが多く、因果関係は裁判によってしか認められないことが多いこと。 などです。

 

「大切な我が子を『いじめ』という極めて理不尽で心を根こそぎ傷つける行為により失ってしまったこと」は、

親としての自責の念や後悔、くやしさ、理不尽さ、そして言いようもない絶望感と喪失感に苛まれると思います。

しかし、教育委員会や学校の管理職などが、まだ十分に調査すらしていないにも関わらず、このご家族の悲しみを逆なでするような「加害者も大切だ」「いじめはなかった」「ほかに原因があるんじゃないか」などと極めて不適切な対応をしている場合が多く報道されています。

また、報道されることで被害者の顔や実名を出さざるを得なくなり、いろいろと探られるばかりか、誹謗中傷の対象になるなど、

ご家族を社会的に追い詰め、二次的、三次的被害をこうむります。

さらに、原因を追究すべく、第三者委員会がおこなわれても、被害者以外の子どもの聞き取りは捜査権がないので任意です。

また、「いじめ」を客観的に確認できたにしても「自ら命を絶ったこと」との因果関係は「確認できなかった」「影響はあたえた、もしくは一因となった可能性はあるが断定はできない」などのあいまいな結果になることが多いです。

そして、裁判となり、長い年月をかけ、我が子の無念を晴らそうと思って戦っても、いくらかのお金を得ることができたとしても悲しみはずっと残ります。

ここまで数年間、ご家族は苦しみを抱えつつ我が子の「名誉」と「尊厳」のために戦っていかなければならないのです。

 

たしかに、「自死の直接の原因はその子ども自身にしかわからない」もしくは「本人にもわからない」ことであるかもしれず、

他人が判断することではないかもしれません。しかし、明らかに「いじめ」を苦に自死したとしか考えられない事案があります。

また、ご家族がいじめをつかんでいた事例、顧問の先生に相談していた事例、学校に相談していた事例があります。

それで救えなかったら、誰が救ってくれるのでしょうか?

 

そこが整わない限り、残念ながら同じことがくりかえされると思います。

「再発防止」「二度と起こしてはいけない」と声高に言いながら、何度も何度も起こっています。

「いじめ法」ができてからも悲しい事案が起こっています。

 

全国にある「いじめの相談窓口」はどれくらい活用されているのでしょうか?

ある調査によると、活用率がかなり低いということでした。また、同じ話も相談員の方からも直接聞きました。

また、自死に至った事案のご家族や本人が相談窓口に連絡して相談していた。という話は聞いたことがありません。

 

今一度、本当に二度と起こさないためには「子どもの命を救うセーフティーネット」を充実させる必要があります。