今年になってたくさんのいじめ事案や自死に関する第三者委員会の報告が続いています。
旭川の中学生、東京町田市の小学生、福岡の高校生などは最近の発表でした。
特に、昨日、福岡の高校生の件ではお母さんがの記者会見の様子が何度もテレビで流れていました。
第三者による調査が一般的になり、それなそれでいいことだと思いますが、
過去の自死事案、町田の件、そして今回の福岡の件でも第三者委員会が出した結論は、
「いじめはあった。しかし、それが自死の原因かどうかは不明」とものがほとんどです。
福岡の件も、いじめというより悪質は犯罪行為であり、性被害や恥ずかしい動画を拡散されたりという高校生がするとは到底思えないものです。顧問の先生に訴えて指導をしたとのことでしたが、部内で処理し学校へは未報告、不適切な指導も確認されました。
これだけの状況がありながら、結論は「自死の原因は不明」。遺族は再調査を求めています。
「何かわからない理由で愛する我が子が自ら命を絶った」ということはご家族にとって到底受け入れられずはずもなく、
さらに心の傷を深くする事態になっています。
もともと、第三者委員会とは「学校や教育委員会も調査の対象になる」という理由で、利害関係のない有識者である、
「精神科医」「弁護士」「臨床心理士」が委員となり,先生からの聞き取りや学校に資料提出を求めることで、一定の結論を出す。というものです。あまり話題になりませんが、調査の範囲が「学校での出来事」に限られているものが多く、「家庭の中のこと」に踏み込んで広く調査範囲を対象としている第三者委員会もありますが少ないです。
いずれにせよ、第三者委員会は、自死の原因を特定するというものではなく、客観的に何があったか、それが客観的に確認できたか。ということに終始することが多いため、「いじめが客観的な証言や資料に基づき確認できたかどうか」が焦点となります。
その上、有識者の方々は当然、「学校現場」のことはわかりません。
「ある事象が子どもたちにどう受け止められるか?」「その行為が子どもたちの集団でどのような意味を持つのか」
「その学級や部活動の集団が成熟していた集団かそうでなかったのかなど、客観的な証言を受け取ることができても、微妙な子どもたちの雰囲気や集団の特性」などは、学校という領域で長く過ごした人しかわからないことがたくさんあると思います。
もちろん、それを委員の方々に求めるのは無理だし、求めてもいけないと思います。
ただ、「委員の中に、学校の状況に詳しい、教職の経験がある人」を必ず入れるべきだと思います。
全国的には「ご家族が推薦する委員を選出する」という第三者委員会もあります。
これは、私は必ずしてほしいことだと思います。
話を戻しますが、客観的にいじめが確認できても、それが自死に結びついたのか?については、想像はできても「これが原因だ!」と断定することはできないのが現状です。
それはなくなった本当の理由は「亡くなった本人」しかわからないと考えられているからです。
残念ながら第三者委員会でも断定はできません。
ですから、「いじめが本人の心に影響を与え、自死の一因になったかもしれない」とか、「いじめが要因になり得た可能性があった」
「いじめは確認したが自死との因果関係は不明」というような結論になることが多いと思います。
この点をはっきりさせる方法は、民事裁判を起こし、損害賠償請求をするなど、司法の判断に委ねるしかないのが現状です。
こうなるとおかねも時間もかかり、ご家族の心理的な負担、経済的な負担が大きくのしかかって来ます。
本当になるせない。という気持ちがします。
加えて言えば、宝塚の女性が亡くなった件でも第三者委員会の聞き取りを拒否した方が4人いたとのことでした。
第三者委員会は捜査権はないので、あくまでの任意での証言となります。
そうなれば、客観的事実が見えにくくなるには当然です。
昨年、いじめの重大事態は700件を超えました。
全てが第三者委員会が調査するものではありませんが、いずれのせよ、いじめの傷が少しでも癒え、希望を持って新しい生活がスタートできる環境がつくられ、笑顔で毎日を過ごすことができるように願うばかりです。