おととい、何気なくテレビをみているとアメリカの男の子が「小学校2年生から5年生まで体型をからかわれたり、毎日冷やかされたりしている。」ということが取り上げられ、なんとその子を「ハーレーダビットソンにのった屈強で強面のおじさん」たちが味方になり、始業式にその子を乗せたバイクを先頭に50台のマイクが列をなし、登校するというものでした。

その日から、いじめはなくなったそうです。とナレーションが流れ、話は終了しました。

なんともアメリカ的で痛快な話ですが、めったにない珍しいことだから番組の中で取り上げられるのだと思います。

 

しかし、これは単なる「珍しい痛快な話」だけでなく、「いじめをやめさせる大切なヒント」が隠れていると思います。

私が考える「いじめ」の正体はズバリ、

人の心を粗末に扱うこと、人のことを何かしら理由をつけて、やっつけてもいい人間だとして軽んじること」です。

その形は、「冷やかし」「からかい」「皮肉」「嘲笑」「あてつけ」「その人がダメージを受ける言葉やフレーズ

(体型、くせえ、身体的特徴、特性、くさい、きたない、ばい菌、など)」「暴力行為、金銭要求」などなどです。

 

このことを加害者に辞めさせる心理的方法は私は、2つしかないと思います。

一つは、「大人からの説諭により、自らを省み、心から反省してやめる」こと。(良心に訴えること)

二つ目は、「このまま続けたらヤバイ」と思わせること。 です。      (ヤバイという不安や恐怖をあたえること)

 

前述した、「アメリカの少年のケース」はまさに二つ目の心理を与えたからいじめをしなくなった。にすぎません。

 

一つ目のケースは、「いじめの指導の際に、先生方や被害者の親御さんなどからの話で心底反省し、『もう絶対しない』と自ら誓う心をもてること」です。しかし、これは「いじめが発覚した後のこと」であり、被害者がいじめを訴えないといけないし、

学校がそれをしっかりつかみ、重大と受け止め、正しく指導し、反省を促すことが不可欠です。

しかし、加害者も「私も前に被害者に嫌なことをされたんだ」とか、「わたしだけじゃない、あの人の方がもっとひどかった」とか「私はただその場にいただけ」などと言い訳だらけで反省するどころか、保護者もでてきて、「一方的に加害者にされるのは差別じゃないか!」とか「先生方3人に尋問された。そっちの方がいじめじゃないか、もう学校に行きたくないと言っている」とか、「子どもに聞いたらお互い様と言っている、いじめではなく、けんかではないか。その場合は両成敗ですよね」「いじめられた方も問題ありますよね」などと言われる場合もあり、一般的に加害側の方が保護者の人数が多いため、加害側の保護者が結託して、ぐいぐい学校の指導の仕方や「いじめ」との認識を訂正するように訴えてくることも多いです。

 

万が一、学校がここに屈するような対応をしてしまうと、「被害者はそれなりの理由があったので攻撃された。それは長い期間でみるとお互いさまで、いじめと明確に言えず、人間関係のトラブルによるけんかである」なんてことになったら、

被害者は学校に行けなくなるか、転校するか、というところまで追い詰められます。

 

前にお話ししましたが、これでは、どんないじめも解決しないことになります。

結果、「いじめ」ではないので、調査があっても「いじめの認知件数」にはあげられないこともあるでしょう。

そうなると「やられ損」どころか、もっと大きな負荷がのしかかってくるので、「学校に言わなければよかった」となってしますことがあるのです。

学校管理下で起こった「いじめ」は「学校が責任を持ってやめさせ、解決を図り、二度と起きないようにし、被害者が安心して

前よりも過ごしやすくする責任」があります。

しかし、「いじめ」の指導は本当に高度な技術を要します。

「いじめ防止対策推進法」では、「いじめをどう解決するか」という具体的手順が明確に示されています。

しかし、実際、「どのように事実確認をするのか?」「その際の留意点は何か?」「加害者の子や親がこういってきたらどう対応するのか?」などは、発達段階や子どもたちの集団の特性や習熟度にもよるので、具体的に示されていません。

つまり、「現場の管理職と先生方の指導力」にかかっているのです。

 

このことを考えると「学校に訴え、手順から何からすべてをお任せする」というのは、100%成功するとは限らない。と

頭に置いておくべきです。これは学校がどうだという批判ではなく、現在、「いじめの指導」が非常に難しくなっている。

学校現場では苦慮している。ということを言いたいのです。

 

特に、いじめ防止対策法の「いじめの定義」で、「インターネット上のことも含む」ということが明記されたことで、

学校管理下でない家庭でのインターネット上でのいじめも指導しなくてはいけなくなりました。

これまた、難しい指導となります。

学校としては、「持たせないでくれ。」と言いたくなると思います。しかし、学校から情報端末を1台ずつ貸し出しているので、

もう、まったなしの指導事項となっています。

では、次回、もう一つの「やめさせる心理的方法」についてお話しします。