前回から続きます。

 

私が考える不登校の「内的な要因」とは、

〇「内科的な要因」〇「個人の特性に関係する要因」〇「心身の不調や疲労」〇「心の疾患」などが考えられます。

 

前2つは前回お話ししたので、後半についてお話しします。

 

「心身の不調や疲労」とは、よく中1ギャップと言われますが、小学生の頃と生活が一変することで心身が疲労し、不調を訴え、

これを機に不登校傾向になる子が多いです。

現に中学校で発生数が多い学年は断トツで中学1年生です。

大きな変化は、教科担任制になることで多くの大人と接することが増えるため、人間関係や気疲れする子もいます。

また、部活動も大きな要因です。小学生のころは土日に遊んだり休んだりしていたものが、中学生になり、毎日部活動があり、

帰宅時間も6:30や7:00くらいとなり外で遊ぶ時間なんてありません。また、土日も少なくともどちらかは部活動があり、

「家に帰ってきたらごはんも食べずに寝てしまうこともあるんですよ」と言われる保護者の声を何百回も聞きました。

さらに、習い事や塾などに通いだす子もおり、一日終わるとぐったりするという子も少なくないと思います。

学校内では、授業の規律や生徒指導は格段にきびしくなります。

もちろん発達段階によって変わるものですが、叱られて泣いてしまったり、ショックで次の日休んでしまったりする子もいます。

感受性の強い子は友達が叱られているのを見て、自分が言われている、またはそれ以上にストレスを感じる子もいます。

このような学校生活の変化によるストレスは非常に大きいです。

「そんなもん、みんな乗り越えてきた。甘えるな!」という人も多いと思いますが、大人が意図的につくっているシステムの中で

苦痛を感じている子がいること、多様性の時代と言われるのに画一的な教育システムになっていることは時代と共に変化が必要であると私は考えます。

 

4月入学、希望を胸に中学校生活を楽しもうとしていたけど、生活の変化に疲労がたまり、指導やシステムの違い、新しい人間関係のストレスがたまり、何とか4月は緊張で乗り切ったものの、5月の運動会で心も体も疲れ果て、内科的な疾患がでたり、

適応障害的な症状が出る子もいます。そして、連休明けから6月にかけて不登校が急増、9月にそのピークを迎えます。

 

このパターンを何十年も繰り返しているのに、学校がこれを問題視して対応、変化しないと、同じことの繰り返しで毎年、

苦しい思いをする子どもたちが出てくるのです。

 

最後の「心の疾患」については、子どもの出現率もけっこうあり、無視できない数字です。

これはドクターとのかかわりが欠かせません。疾患になるのは子どものせいではありませんので、できる範囲でできる限りの学びと生活経験をしてあげることが必要だと思います。

 

一通り、お話ししましたが、どれもひとつの要因であり、複数が絡み合うことが多いと思います。

ただ、それぞれの種になる要因に可能な限り適切なアプローチをすることで、「社会的な自立の力」をつけることができるかどうかがかかってきます。

 

文科省の毎年の調査では、不登校の要因の60%近くが「無気力・不安」です。

この回答は、子どもが「私は無気力です。やる気がありません、学校にも行きたくありません」や「友達や先生に会うのがとても不安です。毎日、何かわからない不安で押しつぶれそうなんです」と言ったわけではありません。

学校がとるアンケートで子どもが答えたわけでもありません。

 

これは選択肢の中から先生方が「対象の不登校の子ども」に一番あてはまる選択肢を選んでいるにすぎません。

先生がたの目は確かだと思っていますので、他の選択肢を消していくと、「無気力・不安」しか残らないのだと思います。

個人的には、何もないのに子どもが自ら「無気力・不安」になるのかなあ。と疑問に思います。

何かしら、ストレスや怖いこと、心配なこと、があるから不安になり、何事にもやる元気がなくなってしまうのではないかと思います。そうであれば、「無気力・不安」になった要因がそれぞれの子どもにあるはずだと思います。

 

「ここを丁寧に見取って支援する」には、信頼関係とある程度の時間が必要です。

しかし、ここに取り組まないと「社会的自立」は大きなハードルとして立ちはだかると思うのですが。

私は、たとえ人数が少なくなってもひとりひとり、しっかりと「その子だけの必要な支援」をしていこうと思っています。