文科省が5年前に不登校支援の目標を刷新し、今までの「学校復帰」という結果のみにこだわらず、「社会的自立のための力をつけること」にしました。個人的に素晴らしいことだと思いますが、目標がちょっと抽象的で大きなくなりすぎた感じもします。

 

加えて、文科省は「学校以外の学びの場を認める」とし、フリースクール等の民間施設で活動している子どもたちを「出席扱い」とすることを可能とし、そこでの学習の成果などを積極的に評価に反映できることとしました。

各学校は「不登校の子どもが活動している施設に連絡や訪問をして情報を集め、自校の指導に役立てること」と文科省は言っているので、学校の負担も増えることになります。(この点はまだまだ学校に浸透はしていないようですが)

 

また、皮肉なことに、もし、小中学校に1日も登校できなかったとしても、「学校以外の学びの場」で毎日活動し、それが「出席扱い」になっているとすれば、年間30日以上の欠席という「不登校」にカウントされなくなります。

必然的に「不登校の子どもの数自体」は減少するものと思われます。

 

これはいいことかどうか、私にはわかりません。

ただ、今、私が感じるのは、「学校以外の学びの場」の「使命と責任」です。

 

だって、学校の代わりとして、大切な子どもたちをお預かりし、「出席扱い」にしていただけるとすれば、

当然、「社会的自立のための力」を身につけさせることが必要条件となります。

 

単に、不登校のカウントの仕方を変えて、不登校の数を減らすことが、不登校の子どもたちを支援することではないはずです。

不登校の数が毎年過去最高になるからと言って、数を減らすために、不登校のカウントの仕方を変えたとすれば、大きな間違いで、嬉しいのは数の多さのみを問題にしている大人のみです。

文科省の意図とはちがった、このような皮肉な結果にならないためには、子どもをお預かりする施設が、使命感と責任をもって、

社会的自立のための力をつけさせないといけないと私は思います。

 

私が生活している自治体の「不登校の子どもが利用するいろいろな施設」の多くは様々な活動や支援が行われ、そのほとんどが「出席扱い」にしていただいている。と聞いています。

そうであればなおさら、「社会的自立のためにどんな力をどんな方法でつけるよう支援していかなければならないか」を

大きな課題とし、議論する必要があると私は思います。

 

今、国や自治体が進めようとしている、「学びの多様化学校の設置」や「校内フリースクール(別室)」

でどうやって「社会的自立の力をつけるのか」その考えを是非、学びたいと思っています。

特に、「校内フリースクール」と銘打ったものは、その学校の教員ではなく相談員の方が支援するそうです。

それで「社会的自立の力を身につけられるのか」 私は疑問に思います。

 

もちろん、選択肢が多くあった方がいいし、その施設施設の理念や考えで運営されているので批判や否定をするつもりはありません。ただ、言いたいのは「子どもを預かる施設は、社会で生きていくための力をしっかりとした見通しをもってつける方法を模索しないといけない時期に今、きている。求められている」と感じたのでこんなお話をしました。