現在の日本で、

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)

の根本的な治療薬はありません。


アリセプトというお薬がありますが、

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)

の進行を止める作用はなく、

病気の進行を約半年遅らせる程度の

効果しか期待できません。


このたびの理研と埼玉大の共同研究をもとにして、

将来的にこの病気の根本的な治療法が開発される

かもしれませんね。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080821-00000009-cbn-soci


アルツハイマー病治療に新たな可能性

8月21日17時30分配信 医療介護CBニュース


 WHO(世界保健機関)の調べで患者数が全世界で1800万人と推定されているアルツハイマー病について、理化学研究所(理研)の脳科学総合研究センターと埼玉大の共同研究チームが8月21日、「脳の老化による記憶障害の発症機構を解明することに成功した」と発表した。理研では、「神経ネットワークの異常を調整することで、記憶障害を改善するアルツハイマー病の新たな治療戦略の可能性を示すことになった」としており、成果は、同日付の米国のオンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。

 アルツハイマー病は、物忘れに始まり、認知障害へと徐々に進行する。
 理研によると、アルツハイマー病には、約40個のアミノ酸から成るタンパク質「βアミロイド」が大脳皮質などに凝集してできる老人斑と、「タウタンパク質」が蓄積して引き起こす神経原線維変化という2つの病理的特徴がある。一方、長年かかって発症し、進行することから、臨床的には、老化が脳の機能不全を起こすと考えられるという。
 そこで、同チームは、「βアミロイド」の凝集と老化という記憶障害を引き起こす2つの異なる要因には、何らかの共通の機構があると想定した。

 同チームは、「βアミロイド」と老化という2つの要因について検討するため、「βアミロイド」が過剰に発現した若いモデルマウスと、老齢のマウスの2種を、それぞれ普通の若いマウスと比較。その結果、モデルマウスも老齢のマウスも記憶能力が低下していることが分かった。
 記憶低下の原因を明らかにするため、記憶の形成をつかさどる海馬の「シナプス可塑性(LTP)」についても調べたところ、モデルマウスと老齢のマウスでは、神経伝達物質「GABA受容体」を介した神経活動の抑制機構(GABA抑制)が異常に促進され、LTPが低下していることを突き止めた。モデルマウスに「GABA受容体」の阻害剤を投与すると、記憶能力の低下が改善した。

 これらの結果、GABA抑制の異常な促進によるLTPの低下が、「βアミロイド」と老化による記憶障害の共通した発症機構であることが分かった。理研では、「神経ネットワークの異常が、病気の進行過程でどのような変化を起こすか、どんな薬剤投与で異常を調整できるかについて検討していきたい」などとしている。

【タウタンパク質】
 アルツハイマー病の脳では、過剰にリン酸化されたタウタンパク質の沈着物(神経原線維変化)が神経細胞内で観察される。
【海馬】
 記憶にかかわる脳の器官
【シナプス可塑性】
 神経細胞間(シナプス)で情報伝達効率を長期的に変化させる能力