約束
🍁🍂🍁
今年も
早くも１０月です
この季節がくると
想い出すのは
まるで風のように
消えて行った友人のこと
もう
数年も昔の話です
彼女とは
職場で知り合い
気心知れた仲となり
仲良しグループ
と良く
遊びに出かけたり
また
もう一人の友人を
まじえて
三人だけの
ランチにも
良く出かけたものでした
(職場仲間と大阪城公園にて)
（茶色のコートを着ているのが彼女）
そのうち
私と
もう一人の友人は
時期を違えながらも
其々が
退職をしました
でもその
彼女
だけは
まだ第一線で
頑張っていたのでした
ばらばらになった後も
三人は
時折
電話をしあったり
頻繁では
無くなったものの
たまには
ランチ
を楽しんだりと
細く長〜い
付き合いは
続いていたのでした
そんな
ある日のこと
たまたま
行った郵便局
で
偶然にも
彼女
と
バッタリ
出会ったのでした
ほんとうに
久しぶりの
再会だったのです
私達は
立ち話のままで
近況を確かめ合いました
彼女
がその日
郵便局にきていたのは
６０才の
誕生日が過ぎたばかりで
『定年退職』
をして
『年金の手続き』
の為に
来たらしいのです
「もうそんな歳になったんよ〜」
私より
７つくらい年上の
彼女
は笑顔で話しました
また
春には
娘さんが「結婚」
した事も
嬉しそうに
話してくれました
更には
娘さんの嫁ぎ先
の近くに『新居』
を
すでに購入してあり
近々
『引っ越し』
をすると
話してくれました
いずれ
出来るであろう
『孫の世話』も
早くしたい
と
幸せの真っ只中にいた
彼女
でも、、
引越し先を聞くと
もう
簡単には会えないな
と
思ったのでした
しかも
引っ越しの予定は
この
十月中だと聞きました
もう
一月も無い
！
また三人で
顔を会わすとしても
今度の機会が
最後
になるかも知れない
絶対に
もう一度早いうちに
連絡を取り合って
三人で
再会しよう！
そう約束して
その日は
幸せいっぱいな彼女の
後ろ姿を
見送ったのでした
早速
もう一人の友人にも
連絡をとり
早急に
段取りを決めようと
話し合いました
そして数日後
彼女
の
自宅に
改めて電話を掛けました
どうした事か
呼び出してはいても
誰も出ないのでした
私達はその頃
まだ
携帯電話
も
持って居ませんでした
失礼かとは
思いながら夜間にも
また
電話をさせてもらいました
が
やはり
お留守なのか？
呼び出してはいるものの
誰も出ないのでした
もう一人の友人に
事情を話して
友人からも電話を
掛けてもらいましたが
やはり
全く電話には
誰も出ないとの
返事がありました
なにか
あったのか
。。。
そうこうしていたら
当の本人の
彼女
から
電話が入ったのです
！
ごめんね
ちょっと家の方で
取り込んでいて
引っ越しどころやなくて
。。。。
もう一人の
○○さんにも
よろしく言っててね
で
またこちらから
連絡するねごめんね
。。。。
ごめんね
これが
彼女との最期の会話
になろうとは
、、、
私と
郵便局で出会った
あの
数日後に
胃痛で気を失い
救急車で運ばれ
開腹手術
をしたものの
既に
手の尽くしようもなくて
お腹を閉じたそうです
葬儀の席で娘さんから
初めて聞来ましたが
もう既に
『胃がん』の末期
だったそうです
数年まえから
胃痛があり市販の薬で
やり過ごしてきた
と
そう聞きました
彼女が天に召されたのを
知ったのは
元の職場の
懐かしい同僚からの
知らせでした
『家族だけで
見送って欲しい』
『誰にも知らせないで
そっと逝きたい』
と
余命を知った彼女
からのたっての
遺言だったと
娘さんが
話してくれました
それでも
僅か
数人だけには知らせを
入れたそうです
そして
またたく間に
お別れに来た人の数は
会場に
入り切れない程でした
その殆どが
みんな顔見知りでした
享年 六十
まだまだ若くて
突然過ぎる別れでした
定年まで
勤め上げた彼女は
これからは旅行も
一杯行きたいし
娘の近くに住んで
孫の世話もしたいし
第二の人生
を
思い通りに楽しみたい
私の人生は
これからよ〜
あの日
郵便局で
出逢ったのは
偶然だったのか
あんなに
希望に満ち溢れた
幸せな笑顔
彼女との最後の
お喋り
は
何時までも
私の脳裏から
消えないままです
またあの季節が
巡ってきました
🍁🍂🍁🍂🍁
あの日の
約束
はまだ
果たせていないけど
私は
まだそちらには
行かないからね
まだ行けないから
いつか
きっといつかね
きっとね
🗝️
Tears in Heaven
エリッククラプトン
もしも
天国で会ったなら
貴方は私の手を
握ってくれるのかな
もしも
天国で会ったなら
私が
立っていられるように
助けてくれるのかな
私は自分の
進むべき道を
まだ
これからも
見つけてゆくよ
この
天国には
今はまだ
いることは出来ない
そう
まだ
今じゃないから