「ゆらり鯉」



   詩 : 高橋 順子




 神社の池の鯉に餌をやりに行くのが日課になった

 麸をちぎって放ると

 意外に大きな口をあける

 まるい くらい生(せい)のかたちだ

 いきおいあまって 鯉と鯉同士

 せっぷんしてしまうこともある

 「あら ちがった」とばかり ぱっと離れる

 水にゆらり緋色を流して