「月と雲」


   詩 : 金子 みすゞ




 空の野原の

 まん中で

 ぱったり出あった

 月と雲。



 雲はいそぎで

 よけられぬ、

 月もいそぎで

 とまられぬ。



 ちょいとごめんと

 雲のうえ、

 すましてすこたら

 お月さん。



 あたまふまれた

 雲たちも

 平気のへいざで

 えっさっさ。