「島」


   詩 : 石垣 りん




 姿見の中に私が立つている。

 ぽつんと

 ちいさい島。

 だれからも離れて。




 私は知つている

 島の歴史。

 島の寸法。

 ウエストにバストにヒップ。

 四季おりおりの装い。

 さえずる鳥。

 かくれた泉。

 花のにおい。




 私は

 私の島に住む。

 開墾し、築き上げ。

 けれど

 この島について

 知りつくすことはできない。

 永住することもできない。




 姿見の中でじつと見つめる

 私ーーはるかな島。