丸茂先生が話題にされていた神奈川新聞社の社説は、カナコロのHPに出ていました。
http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiisep070915/

ここに転記させていただきます。

神奈川新聞社 社説

横浜「瀬上沢」開発
2007/09/23 保全の道こそ探るべきだ

 市民と行政、議会などが一体となって、大切な財産である緑地をできる限り保全する道を探るべきではないか。ホタルの生息地として知られる「瀬(せ)上(がみ)沢(ざわ)」(通称・瀬上の森、横浜市栄区上郷町)周辺の大規模開発計画をめぐり、地元住民らから「待った」を掛ける声が高まっている。

 横浜の市民グループは、約一万五千人の署名を添えて、市と市会に計画の中止と緑地の全面保全を求める陳情書を提出した。五万人を目標に、さらに十一月末まで署名を集めるとしている。「貴重な自然を守らなければ」と立ち上がった住民らの率直な思いを、市や事業者、地権者などはしっかりと受け止めてほしい。

 開発計画の場所は横浜七大緑地の一つで、円海山のふもとに広がる約三三・五㌶の市街化調整区域。事業者は今後、開発を進めるため市に対し、都市計画提案制度に基づき、市街化調整区域を市街化区域に変更することなどを提案するものとみられる。

 市などによると、計画では事業者が公園を含めた約二一・三ヘクタールの土地にマンションや大型商業施設などを建設し、ほかの約一二・二ヘクタールは緑地として残して市に寄付する予定という。現在、市の環境影響評価条例に沿って手続きが進められている。

 しかし、一部の緑地を残すとはいえ、計画通りに開発が進められれば、瀬上沢の自然環境に大きな影響を及ぼすのは必至。瀬上沢は横浜市内最大のホタルの生息地として知られる。豊かな生態系と良質な谷(や)戸(と)を残している。地元住民だけでなく、広く市民から憩いの場として親しまれる貴重な緑地だ。栄区のマスタープランでは、緑と水の拠点としても位置付けられている。住民らが緑地保全を願うのも当然であろう。

 横浜市は「環境行動都市」を掲げ、中田宏市長は「緑被率向上」や「百五十万本植樹」などの施策に力を入れている。全国の先頭に立って緑地保全や地球温暖化防止を推進することを打ち出しているのである。地方自治体が率先して地球的課題に取り組むことは、地方主権の実践にふさわしく、高く評価されよう。

 そうした点でみても、地方行政が市民と一体となって一本でも多く市内の緑を増やそうと呼び掛けている最中に、市内最大級の緑地で開発が進められれば、結果的にせっかく意気込みの見える取り組みに「水を差す」ことになってしまうのではないか。

 先ごろ開かれた横浜市の緑地保全などの施策にかかわる税制研究会でも、委員から「緑を守るためには大どころである市街化調整区域の緑を保全していかなければどうにもならない」という指摘が出されている。市など関係者は瀬上沢の扱いについて英知を集め、緑地保全を進めるよう求めたい。 こそ今、必要だ。