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---がんは人によって違う---
一概に「がん」と言っても、その部位、広がり方や性質は人によって違うらしい。
これは自分ががんにならなければわからなかったことだ。
乳がんも然りである。
乳がんの場合はサブタイプに分けることができて、それによって治療も標準化されているだけわかりやすいかもしれない。
しかし乳がんにサブタイプがあることや、そのサブタイプそのものが何なのかわからない告知されたばかりの乳がん患者は、サブタイプの呼称を聞いて告知後すぐに混乱することになる。
実際、私もサブタイプの性質が全部陽性(いわゆるトリプルポジティブ)と知った時は、
「よりによって、なんでこんなややこしいタイプに私がなるの」
と思った。
でも、それはサブタイプの考え方を知らなかったから、全部陽性だと単に一番悪質ながんと勝手に思い込んでいたためである。
悪質というか「悪性度」というのは「グレード」と呼ばれ「サブタイプ」とは別である。
サブタイプが何なのかをきちんと知れば、それはがんの原因を把握して治療方針を決めるためものであると理解できる。
乳がんのサブタイプ(乳がんの性質を示す指標)
ホルモン受容体、HER2、ki67の値によってタイプが分かれる。
ルミナルA ホルモン受容体:陽性、HER2:陰性、ki67:低
ルミナルB ホルモン受容体:陽性、HER2:陰性、ki67:高
HER2タイプ ホルモン受容体:陰性、HER2:陽性
トリプルポジティブ ホルモン受容体:陽性、HER2:陽性、ki67:高
トリプルネガティブ ホルモン受容体:陰性、HER2:陰性
このように5タイプに分かれている。
そして抗がん剤治療をやった方が良い、もしくは必然となるのはルミナルA以外の4タイプである。
HER2が陽性なHER2タイプとトリプルポジティブは、HER2タンパクを狙い撃ちするハーセプチンという分子標的薬を使うため、点滴治療期間は1年間になる。
抗がん剤の投与が終わっても、さらに半年以上は点滴が続くのである。
全部陽性、治療期間が長いなどの理由から最初に聞いた時は驚いて嘆く人が多い。
私もそのうちの一人だった。
しかし、私は薬剤師(製薬メーカー勤務)の夫に言われた。
「あのね、全部が陽性ってことは、効く薬がそれだけあるってことなんだよ。陽性ってことは原因がはっきりわかっているということなんだよ。治療は長くなるけど、効果がある治療法が全部わかっているだけ良いでしょ」
私が今回の記事を書こうと思ったきっかけは、トリプルポジティブと言われてグレードもステージも聞いていないのに、全部が陽性だったと聞いたことだけで、すっかりステージ4気分に陥って混乱して大騒ぎしている人がいると知ったことだった。
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