抗がん剤のTC療法は3ヶ月間ある。

体調不良になるだろうが、仕事もしないで自宅に引き籠もっている期間が3ヶ月間もあるのだし、よ~し、この機会にいつかはしっかり読みたかった源氏物語の現代語訳小説を読もう!!と決めた。

ストーリーは知っていたが、恥ずかしながら今まできちんと読んだことはなかった。

 

できるだけ脚色していなくて原作に近い感じのものをと色々調べて、田辺聖子の「新源氏物語」に決めた。

抗がん剤中は終わらなかったが、10月に入って読み終えることができた

他の作家の作品を読んでいないので比較することはできないが、田辺聖子にして良かった。

読みやすかったし、言葉がきれいだ。

 

源氏物語は今から1000年も前に紫式部によって描かれた平安時代の恋愛絵巻の巨編である。

自分の備忘録のために、あらすじを書き記しておく。

といっても全部は無理なので、話の根幹になる部分だけ。

要するに98%くらいは端折るニヤリ

 

桜**桜** 源氏物語あらすじ 桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**

華麗なる平安時代。

時の桐壺帝の寵愛は美しい桐壺更衣(きりつぼのこうい)一人に注がれていた。

帝の他の妻達は桐壺更衣に嫉妬して呪い、心優しい桐壺更衣は幼子を一人残して病み死んでしまう。

残された幼子は世にも稀なる美しい容貌の男子だった。

それがこの物語の主人公の光源氏

源氏は帝の子ながら皇族ではなく臣下として育てられる。

時が経ち、桐壺帝は先帝の姫であり桐壺更衣に生き写しの藤壺女御(ふじつぼのにょうご)を正妻として迎える。

亡き母の面影にそっくりな藤壺女御は、その後、源氏の一生涯にわたって強い恋慕(妄執)を抱かせる女性となる。

 

源氏は育ち、光り輝く美貌であちこちに女を作っては恋愛遍歴を繰り返す。

正式な妻も迎えたが(後に死別)、藤壺女御への恋慕は消えることはない。

それどころか、偶然にも藤壺女御の10歳にも満たない姪っ子の紫の上を見つけて拉致ガーンして自分の家で好みの女性に育て始める。

紫の上は藤壺女御にそっくりだったのである。

要するに、紫の上も源氏の実母の桐壺更衣に似ているわけだ。

マザコンでロリコンという最悪さ。

 

それだけじゃなく、ついに藤壺女御とも禁断の一線を越えてしまう

女児を拉致する、義母には手を出す、(今なら)性犯罪の限りを尽くす源氏。

その結果、藤壺女御は懐妊、桐壺帝の子として出産するも、源氏は思いっきり想定外に将来の帝の父になってしまう。

もちろん、そんなことは藤壺女御と源氏しか知らない。

その上、イイ感じに成長した少女の紫の上とも肉体関係を持ち、ついに彼女を妻として迎える。

 

色々あって源氏も中年になる。

自宅2軒に今までの愛人全員を呼び寄せてハーレムを作るほどの凄まじい権勢だ。

時の帝は、源氏の腹違いの兄の朱雀帝(すざくてい)から冷泉帝(れいぜいてい)に移っている。

冷泉帝は実は藤壺女御と源氏の子。

 

隠居した朱雀院は出家して仏門に入る時に、可愛がっているまだ少女の姫の女三の宮(おんなさんのみや)の将来を心配し、なんと源氏の正妻として縁談を持ちかける。

40歳過ぎた源氏と、13,4歳の女三の宮。

当時は祖父と孫くらいの年の差だ。

最初は乗り気じゃなかった源氏だが、女三の宮の母が藤壺女御の腹違いの妹で、いわゆる藤壺女御の血のつながった姪だと知ると、途端に縁談に乗り気になって、同じ藤壺女御の姪である紫の上を北の方(事実上の正妻)としながらも、女三の宮を本当の正妻に迎えてしまう。

 

しかし、女三の宮は自分の意思を持たないお人形みたいな姫だった。

藤壺女御に面差しは似ていても、自我を持たない性格に失望する源氏。

二人は次第に形だけの夫婦になっていく。

どこまでも身勝手な源氏。

そうこうしているうちに、女三の宮に懸想した源氏の親友の子の柏木(かしわぎ)が女三の宮と深い関係になって、女三の宮は柏木の子を懐妊する。

ざまあみろ。

源氏はその子を自分の子として育てる。

当然だよ、アンタも実の父親に自分の不義の子を育てさせたんだから。

 

源氏に一番に大切にされながらも、源氏の女癖の悩みが尽きなかった紫の上は、ついに体を壊して命果てる。

紫の上は40代前半だった。

50歳を超したばかりで、当時としてはいいじーちゃんの年にになていた源氏は取り乱し、紫の上の葬式も自分じゃ出せないほど嘆き悲しむ。

1年ほど引き籠もりになった後、ようやく出家してその数年後にハレンチな人生を終えましたとさ。

ちなみに、じーちゃんになっても源氏は美しかったそうだ。

 

桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**桜**

 

源氏物語自体は実は源氏の孫の世代まで話が続くが、田辺聖子の「新源氏物語」は源氏の出家を以てストーリーが終わっている。

 

 

1000年前の平安貴族と今の私達では恋愛事情が違うので源氏に感情移入はできないが、ひとつひとつのラブストーリーは多種多様な恋愛模様があって、これだけの作品を1000年前によくぞ書いたものだとひたすら感心する。

女の気持ちは今も昔も変わらぬところがあり、なるほどね~と思うことも多い。

 

帝に愛されれば愛されるほど、不幸になっていく桐壺更衣。

帝の妻になったものの、夫の帝よりも年の近い継子の源氏に惹かれてしまう藤壺女御。

将来の東宮妃候補として育てられながらも臣下の源氏の正妻になり、心密かに源氏を想いながらも素直になれない葵の上。

父とも兄とも慕っていた源氏に、突然妻として求められ拗ねる少女の若紫。

美しくなく内向的な性格の落ちぶれた宮家の姫の末摘花が抱く一途な源氏への想い。

源氏に愛されながらも気位が高くて素直な態度を示せず、物語の最後まで物の怪となって源氏が愛する女達に取り憑く六条御息所。

 

たくさんの恋の話があるので、ベースさえ知っていれば好きな時に好きな物語から読むこともできる源氏物語。

 

通院やケモは大変だったけど、待ち時間は源氏物語を読むちょっと素敵な時間として過ごせた。

良かった音譜照れ音譜