こんにちは!

オーケストラ団員の卵のさくらさんです!
 
昨日は、2月14日バレンタインデーでした。私は、最近北欧巡り&映画巡りにはまっていてこちらに行って参りました!
憧れのユーロスペースに初めて行き、Bunkamuraル・シネマと行ったりきたりしながら四本も映画を見て贅沢な1日を過ごしました。
それでは、紹介していきたいと思います!
 
トーキョーノーザンライツフェスティバルという企画で、昨日まで北欧映画を一週間上映していました!
 
・紹介
☆『X&Y』
北欧のトップ俳優が集められて共同生活をするドキュメンタリー映画。「映画にSEXの本番撮影シーンを盛り込むかどうか」という演出家と映画監督の話し合いのシーンの幕開けに、びっくりしました(^。^;)
 
映画名のXとYって人の染色体のことだったのかと腑に落ちました。
 
あらすじ
簡単に説明すると、女性映画監督と有名なカリスマ俳優がお互いに惹かれあっているという設定で、ふたりの人格を形成するキャラクターを数名の俳優に演じてもらう。例えば、映画監督の場合、芸術を楽しんでいる自分、繊細な自分、性に奔放な自分を複数の俳優に手分けをして演じてもらう。そして、映画監督とカリスマ俳優は、他の俳優の演技を通して自分や相手を見つめ直し、自分とは何者なのか、潜在的に隠された気持ちは何なのかを理解していくという実験的映画です。
 
アングラっぽいというか、難しい映画です。
 
感想
一番気になったのは、男性と女性におけるSEXに対する認識の違いですね。
 
女性はSEXにおいて、受け入れる側。そして、妊娠というリスクを背負う側。痛みを伴いながら出産をするのも女性。
勿論男性と同じく女性にも性欲があるのかもしれないけれど、色々なリスクがあるため受け入れてよい男性か信頼性を求める。
 
一方、男性はリスクを負わないため、あまり深く考えず、基本欲求の一つとして性欲を満たそうとする。勿論、女性への愛情表現として考えている方も沢山いるとは思いますが。
 
※人間の8つの基本欲求
『1健康と長寿、2食物、3睡眠、4お金と、お金で買えるもの、5来世の命、6性欲の満足、7子どもの幸せ、8重要感』
 
「人間関係の秘訣はカーネギーに聞け」著者 対人心理学者 齊藤 勇より引用
 
X&Yで印象的だったシーン
女性映画監督の奔放な感情を演じている女優が、カリスマ俳優に「私、子供が好きだからあなたの子供を作りたいの。」と言ってベッドに誘惑する。「わかった。」という男性。「どういうことか分かってるの?奥さんと子供がいるのに、本当に責任とってくれるの?」「分からないけど、大丈夫だよ!」と言って笑顔でキスをする。
 
そして数ヶ月後、妊娠しお腹が大きく膨らんだ女性の姿を見たカリスマ俳優は、不安を隠せずうろたえる。
その後、妊娠は演出の一環でウソだったということがカリスマ俳優にバレた時、彼は満面の笑顔で「そうかそうか。」と喜ぶ。
 
本来、もし本当に愛しているならそんなことは言えないはずで、むしろ悲しむべきこと。男性が性欲を満たす為なら女性にいい加減な返答をしてしまうのだということが身勝手だなと私は感じました。
 
これはスクリーンの中だけの問題ではなく、今ちまたに溢れていると思います。男性はセックスに望まぬ妊娠というリスクが伴うということをもっと真剣に考えなくてはいけないし、女性側もリスク管理の徹底、例えば泥酔や密室で男性と二人きりになる等のSEXに応じないという意志表示をできない状況を作らないなど、共に考えなくてははいけないと思いました。
 
もう一つこの映画を通して思ったことは、演じるとは?どこまでがリアリティー?ということです。演じるとは虚構なのだけれど、その人自身になりきるということ。このドキュメタリー映画で俳優達に課されたことは、“いかなる時も与えられた役になりきること、つまり、思考も行動も普段の自分ではなくて、その役の人物の頭脳で思考し行動するということ”
これは行き過ぎると、役者の人生を役が食っちゃうという危険性につながる。
 
例えば、2019年公開の映画「宮本から君へ」の主人公を演じた池松壮亮は喧嘩のシーンで、「そんなに軽々しく『やります』とは言えない作品ですよね。何かをささげなくてはいけないと思いながら、僕は安直に(宮本が乱闘により前歯が折れてしまう描写があるため)歯を差し出せばいいのかなと思ったんです。」と言っていたが、蒼井優に「歯は大事だよ。駄作になったらどうするの?」と説得されたそう。
 
X&Yでも、カリスマ俳優は昔ドラッグや酒に溺れた経験があり、俳優達が「この現場にドラッグや酒は置いてないのは何故なんだ。俺達は役者だぞ。」と怒り出したり、タトゥーを彫るシーンがある。
私達観客は、リアリティーを求め危険を冒す彼らにヒヤヒヤさせられる。そして、ラストシーンでは、それが行き過ぎて精神が崩壊していき映画監督が焼身自殺を図ろうとする。でも、これはドキュメンタリーに見えるフィクション映画だったことに気付かさられるオチでした。 
 
虚構と現実の境目が分からなくなるほどの高い演技力に驚かされました。
 
そして、ル・シネマの方に移動しました!(笑)
 
☆『わたしの知らない私の素顔』
こちらはフランス映画!主人公が歌手のアンジェラ・アキさんに似てるなって思うのは私だけでしょうか?笑
 
 
あらすじ
こちらはまだ公開中の映画なので、ネタバレしないように気をつけます!
 
大学教授のクレールは元彼と別れ、未練から元彼のルームメイトであるイケメンカメラマンとFacebookで知り合い、24歳の若い女性として、やり取りをするようになる。しかし、その後ふたりは惹かれあってしまう。彼に本当の姿は見せられない彼女は電話でしか話すことが出来ない。そのうち若い女性の写真や動画を自分と偽って彼に送るようになる。彼女は、彼に惹かれ会いたくなっていく自分と老いている現実の自分との狭間で苦しむことに。イケメンカメラマンとの恋はどうなるのか?彼女が抱えている傷とは?
 
感想
特に女性は、年齢を重ねるごとに自分の老いが気になりますよね。私も学生の頃のアルバムなどを見返すとこんなに若かったっけ?って焦ります(^-^;
 
恋をするとさらに気になりますよね。私ももっと可愛い顔だったらよかったのに、笑顔が似合う人になりたかったとか、はつらつとした性格だったらよかったのにとか思ったりします。
 
この映画は、怖いことだけど短所から目をそらさずに自分自身を受け入れる大切さを教えてくれます。短所も、他人から見たら長所かもしれない!その他人が恋人だったら素敵だなと思うし、愛されると自信がわいてきて、表情や雰囲気がキラキラしてくる。この映画には、悲しさだけでなく、一瞬の煌めきも描かれています。
 
この映画にクレールの心を治療する精神科医が出てくる。彼女の言葉を聞いて、"本当に愛されるには、まず自分の弱いところを自分自身が受け入れる。次に恐怖を乗り越えて素の自分を相手に見せる。そして、何より相手を信じる勇気を持つことが大事”なのだなと思いました。
 
☆『写真家ソール・ライター急がない人生で見つけた13のこと』
 
アメリカの写真家のドキュメンタリー映画。これはX&Yとは違って、正真正銘のドキュメンタリーです!笑
 
私は、今執筆を中断してる小説に写真家を登場させたいという構想があり、写真家はどんな考え方をするのか知りたくてこの映画をセレクトしました!
 
写真家ソール・ライター(1923-2013)さんをご紹介します!
 
彼は、2017年、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催した初の回顧展で大きな反響を巻き起こしました。ほとんど無名に近かったこの写真家の作品は多くの人々の共感を呼び、展覧会に合わせて出版された写真集『All about Saul Leiter』は版を重ね続け、2019年10月現在、13刷目という日本の写真集業界では異例のベストセラーとなっています。
 
感想
彼は89歳まで現役で写真を撮っていた方です。
彼の家は厳格で、父は成績や名誉が最も大事だという考え方でした。しかし、彼は芸術、特に絵画を見たり描いたりし愛する人と温かく優しい時間を過ごすことが大切だったと語っています。そして、彼は「自分はたいした人間ではない。ただ、カメラを多少賢く使っただけである。目的もなしにこれはいいと思った日常を切り取る、ただそういう日を送ってきただけだ。映画にされるような存在じゃない。」とはにかみながら語っています。なんかシャイでいいな、素敵だなとほっこりしました!
 
彼が作品をあまり世に出さなかったのは、父親の影響が大きいです。彼の父は、富や名誉を重要視していて愛が感じられなかった。そのことに強い反発心があって、逆の方向に偏ってしまったのでしょう。心理学的にいうと、父に対して強い反発心を持つということは、彼が深層では自分の生き方を認めてほしい、愛されたいと願っているということ。子供の性(さが)なのではないかと思います。
 
ソール・ライターが素敵だなと思ったのは、自分とは違う意見の人も丸ごと受け入れるという考え方を持っているところです。彼は若い頃、生計を立てるためにファッション誌のカメラマンをしていました。それは写真家としては邪道だと非難する人もいたのですが、次のように言いました。「普通の写真とファッション誌の写真、どちらからも学ぶことがあり、それぞれに活かせられる。非難する人もいたが、僕は悪いこととは思わない。色々な考え方の人がいる、大事にしてることが違うだけ。」
このように自己も他者も受け入れられたら、平和だし素敵だな。
 
そしてインタビューで私との共通点も発見し、親近感がわきました。彼は写真が撮りたくて、誕生日等のお祝いの日には何かにつけカメラをおねだりしていたと言います。私もヴァイオリンを何かにつけておねだりしてたなと思い出しました(*^^*)
 
それから泣けてきたのは、長年彼の才能を信じ、夫の成功を見ることが叶わず2002年に他界した妻ソームズ・バントリーとのエピソード。彼女の遺品を整理から、ソール・ライターが彼女に送ったプレゼントの包装紙が出てきたのです。その包装紙は彼が描いた挿し絵付きで、ソール・ライターは何気なく贈ったものだったけれど、奥さんにとっては大事な作品だったということ。この関係って尊いなと思います(>_<)愛が深い。奥さんが亡くなってから、彼は日の目を見せてあげられなかったことをずっと後悔していて、その姿に胸が締め付けられました。 
 
そんな彼の作品が見られるという、「伝説の写真家ソール・ライター展」が3月8日までBunkamuraのB1ザ・ミュージアムで開催されています。しかも、こちらの展示会の券を見せると映画のチケット代も割り引きになるので、お得です!
 

Information

ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター

会期:2020年1月9日〜3月8日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
問い合わせ:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00(金土〜21:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:1月21日・2月18日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学・小学生 700円

 

 
☆『サイコビッチ』
また、トーキョーノーザンライツフェスティバルに戻ります!
 
あらすじ
優等生で英語も堪能な主人公の男の子と、何かと問題を起こしクラスに馴染もうとしない女の子(サイコビッチ)が、進学に向けてスタディーメイトを担任の先生から組まされるのをきっかけに、互いが惹かれていく。
 
しかし、主人公には昔から付き合っている彼女が…。彼女と主人公の仲を周りのクラスメイトが応援すればするほど荒れていくサイコビッチと心のギャップに悩みイラつきを隠せない主人公。どうなる?
笑えるポイントも盛り沢山の作品だから、気軽に楽しめると思います!
 
感想
元々彼女を大切に想い、身体の関係もあえて持たない。そんな彼に対して、サイコビッチはありのままの性格でぶつかってくる。彼は、家庭でも学校でもいい子という枠にはめらている自分の窮屈さに気付かされるわけです!
 
彼女がいるのに別の人に惹かれてしまう。彼女は何も悪くないのに別れを切り出すのも違うし、サイコビッチと絡んで周りの評価が下がるのも嫌。ザ・煮え切らない男ですが、やはり恋愛も縁ですから、くっつくべき人と最終的にはくっつくし、それは悲しいことに現在の恋人の有無は関係なかったりするんですね。心に嘘をつくのは罪悪感も伴うし苦しいこと。好きな人と付き合うのが一番だと思います(笑) 順は踏まないといけないとは思いますが。
 
私が好きなシーンは、サイコビッチが主人公にダンスを教えるところ!2人が一緒に踊る場面は、彼本来の姿が開花されていく感じがしました。新しいことを共有し受け入れ、共に経験するって気持ちも通わせられるし、とても楽しいですよね!彼女達の楽しそうな笑顔が印象的でした。
 
他に気になったのが、映画で使われている北欧の音楽!ノルウェーの 20歳のシンガーソングライターSigridの「Strangers」が映画のメインソングで使われています。本当に爽快で格好いい曲なので是非聴いてください(^-^*これははまるなと思いました!
 
 
 
 
全然ジャンルの違う四本の映画を見るのは、感情の整理がなかなか難しかったけれど、よい経験になったなと思います!お陰で父に毎年恒例のお菓子を作れなかったのが申し訳ないけど、初めていいチョコ買ったから許して~(笑)
 
 
 
ということで、日が変わってしまったけど文化的な日にチッチキチ~