【不満は、何もせずに放っておくこと】


心理学者、内藤誼人(よしひと)氏の心に響く言葉より…



心理学の古い理論に、「カタルシス理論」というものがあります。 

心の中に不満や鬱憤が溜まってしまったら、それを外に吐き出したほうがスッキリするよ、という理論です。 

不満を溜めこまず、外に吐き出せばラクになるというのは、なんとも理論的であるように思われますが、これはまったく効果がないことがわかっています。 


アイオワ州立大学のブラッド・ブッシュマンは、カタルシス理論に基づけば、イライラしたときには、モノを殴ればスッキリするはずだと考えました。 

ブッシュマンは、悪口を言われた人に、パンチング・バッグ(サンドバッグみたいなもの)を殴らせて、どれくらい怒りが減るのかを調べてみました。 

ところが、怒りはまったく減らなかったのです。 

カタルシス理論など、現実には見られないインチキ理論だったのです。 


では、不満や怒りが溜まったときには、どうすればいいのでしょうか。 

ブッシュマンによると、「何もしないで2分間、放っておけばいい」ということらしいです。

イライラしたとしても、2分間、静かに待っていれば怒りは落ち着きます。 



「え!?私なんて、2分経っても、全然怒りが収まらないのですが...」 

ハーバード大学の脳神経科学者ジル・ボルト・テイラーによると、怒りの化学物質が血流から消えるまでの時間は、90秒くらいだそうです。 

90秒が過ぎてもまだ怒っているのなら、それは「怒りの回路を使いつづけるように、自分で選択している」から。

つまり、頭の中でムシャクシャしたことをいつまでも考えているから、怒りの化学物質が消えないだけなのです。 


ちょっとくらい不満なことがあっても、「ま、いいか」と気軽に受け止めて忘れてしまうのが正しいやり方です。

いつまでも頭の中で悶々と考えつづけていると、怒りは消えません。 


また、不満などを日記やブログで発散したほうがいいというのも、ウソです。 

そん なことをすると、余計にイライラが募っていきます。 

イライラは静かに放っておくのが正解であって、カタルシス理論が言うように、外に出そうとすると、いつまでも消えてくれません。


《不満を感じても、「何もせずに放っておく」のが正解》 


『おもしろいほど やる気になる本』明日香出版社
https://amzn.to/3uelpO2






「アンガーマネジメント」という1970年代にアメリカで始まった心理トレーニングの方法がある。

これは、怒らないことではなく「怒りをコントロールすること」であり、「怒りと上手につき合うこと」。

それはたとえば、「衝動をコントロール」すること。


衝動をコントロールするとは、「最初の6秒をやりすごす」こと。

よく、「腹が立ったら十、数えよ」などといわれるが、間を置け、ということ。


漫画家の弘兼憲史(ひろかねけんし)氏は人生の支えにしている言葉があるという。

それが、「まあいいか、それがどうした、人それぞれ」。


怒りや不満がわき起こってきたら、「まあいいか、それがどうした、人それぞれ」とやりすごす。

『不満を感じても、「何もせずに放っておく」のが正解』という言葉を胸に刻みたい。