『桜の木が見守るキャフェ』読みました。

(2024/4/10発行)

 

標野凪さん

 

『伝言猫がカフェにいます』

『伝言猫が雪の山荘にいます』

『ネコシェフと海辺のお店』

 

 

1作品ごとに、好きになっていきました。

 

 

緋桜(ひお)が、祖母、母から受け継いできた古い洋館。

庭に樹齢100年を超える大きなヤマザクラの木がある。

ここで、祖母は旅館を、母はフレンチレストランを営み

母からバトンを渡された緋桜は、

〈キャフェ チェリー・ブラッサム〉という

和菓子とお茶を提供するカフェを営んでいる。

 

ー目次ー

第一章 開花
第二章 葉桜
第三章 紅葉
第四章 休眠
第五章 芽吹き

 

 

主人公は緋桜、語り手はヤマザクラ

 

ヤマザクラは、

毎朝柴犬と散歩している老人

この洋館、祖母、母、緋桜を、

優しく見守りながら

 

店を訪れる人々が

ふと打ち明ける悩みに耳を傾け、

優しくエールを送っている。

 

 

 

 

 

ゆったりと移ろう季節の中で

人の心も移ろう。

 

ホっとする時間

ホっとする空間

ホっとする人…

心に寄り添ってくれる和菓子とお茶

 

そんな場所があれば

 

悩んでいたことも、

ゆるゆると、ほどけていくのかなあって。

 

 

 

 

難しいことは書かれていないけど

文章の美しさが胸に沁みます。

 

 

 

満開の花ではなく散った花びら

わかりやすい愛らしさではなく

奥ゆかしく葉に包まれた白い餅

そうしたことが豊かだと、美しいと

そう告げられる言葉はどこにあるのだろう。 p52

 

 

老いたヤマザクラが

自身の先行きを心配している様子が

切ないです…。

 

すっかり年老いたわたくしが、若い彼らに伝えられることは

まだ残っているのだろうか。

堪える寒さが、もう時間は僅かだと伝えてきている。p136

 

 

 

自らの身体に刃が入れられる日がひたひたと近づいていることなど

知るはずもなく、日のとっぷりと暮れた庭で、

わたくしは緋桜と都子の会話に耳を傾けていた p145

 

 

 

桜の花が美しいのは、満開の状態で散るからだ。

枯れてから散るのではなく、美しいまま散る。

年老いてボロボロになってから終わりを迎えるよりも

まだ花を咲かせる力があるうちに

生涯を終えるのもまた、美しさ。

それが意に反していたとしても。 p161

 

 

 

 

国際結婚をした夫婦の、夫の言葉に

異国で暮らす妹のことが思われ。

 

若い頃は、刺激が楽しみに変わり

新しいことにも挑戦したくなるが

年を取ると

昔が懐かしく思えてくる。

 

「僕が彼女との共通言語を欲したように、彼女も僕との共通言語が欲しくて

 日本文化を好きになってくれていた。いまはそんな風に思います」

 

 

 

 

 

花についても

え、そうだったんだ!って

知らなかったことが、明かされました(笑)

 

 

 

昨年、長野県小布施町で見た

秋明菊(シュウメイギク)

 

コスモス?と思ったら

叔母が

「綺麗よね、シュウメイギク」って教えてくれた。

 

菊って名前がついていても

 

菊の仲間じゃないのよ

キンポウゲ科の草花、アネモネと一緒なの

 

って。

 

 

 

 

 

北海道の友達に送りたくて、選んだ本だったけど

私も好きな本になりました。

 

友達の誕生日は、9月27日。

 

 

バッグ作家の加奈さんが言う

 

 

「贈り物として選ばれる方は

 自分が使うもの以上にあれこれ悩まれるんです。

 相手のことを想像し、どんな場面でどんな風に使うか

 どんなものが喜ばれるかって。

 それは私が面と向かって出会うのと同じ

 相手のことを理解した上で選んでくださっているんです」

 

「プレゼントは品物そのものの奥に、

 送り主の想いが詰まっている。

 選んで贈る、その行為が贈り物なのだ」

 

 

そう思いながら選んだプレゼントと一緒に

装丁の素敵な4冊を詰めてプレゼント

 

 

 

帯に書かれた言葉を読むのは好きだけど

外すと、可愛らしい表紙が

 

まっすぐにこちらを見つめてくる。