基礎編のつもり。つまり準備です。ここでは 「初炭手前」 (しょずみてまえ)についてです。
下火があってそこから火をおこす・・・。
お茶をお客様に差し上げるには、まずおいしい“お湯”が必要です。そのためには、鉄のお釜で湯を沸かします。
それには、 “炭” をつかいます。夏は風炉、冬場は炉(畳の一部の床下に火を入れても大丈夫な空間を作ってあります。)。の中で炭を燃やします。
種火に、順序よく適切な大きさの炭を灰床の上についでいきます。
それを「お炭手前」といいます。
炭は手がすぐ汚れますから、入れるものが必要です。
それを “炭斗” (すみとり)と呼びます。籠であったり、台だったり、三方だったり、します。
これは籠です。炭斗籠です。
次に裏千家用に組んでみました。
上の写真2枚を比べてみましょう。
釜敷・・・・・・どうですか?
(江戸千家では右に入れてありますが、下の写真では、見あたりませんね)
そうです。
次の写真が紙釜敷です。
裏千家は初炭の時は、この紙釜敷をふところに入れて運び、もちいます。
江戸千家では紙釜敷は、特別なとき、初釜だったり、台子だったり、献茶があったりするときだけに使います。
これが籐組(とうぐみ)の釜敷
江戸千家では普通に用いますが、裏千家では後炭のときに用います。
炭斗には、炭を組み入れたら、他に、「火箸」、「羽ぼうき」、「香合」(練り香が入っています)を入れます。
火箸はもちろん炭をつかむもの。香もつかみます。
炉用は寒い時期なので、火箸の持つところが桑の木だったりして、冷たくないのです。
風炉用の火箸は全部上から下まで鉄や銀(南鐐_なんりょう)でできています。だから、涼しいです。
熱伝導率の違いは大大昔から知られていたのです。
羽ぼうきは、炉のまわり、炉壇、五徳(釜が載るところで、杭状になっています)、釜の蓋を掃き清めるために使います。よく見ると、3枚重ねになっています。そして、竹の皮でくるんであります。
持ったときはさすがに羽なので軽いのです。
軽いのですが、重そうにみせるのがお茶の極意です。
羽もいろいろな種類のもが使われます。炭斗に載せてある羽は姉鶴の羽だそうです。
流派により、炭斗に入れる炭の数も異なります
また炭の組み方、どの炭をどこに入れるかも違います。
要は、炭を下火にくべて、如何にうまく火をおこし、おいしい湯加減にするか、なのです。
江戸千家ではお炭点前の最後に 「座掃き」 というのが常にあります。大きな羽を使い、点前畳から、後ろ向きに膝を折り、腰は浮かせて、ずりずりさがりながら、掃き清めていきます。
こっれが結構、楽しいのです。現時の日常ではほとんど見ないから、なおさらです。後ろへ進むのですから。
ではその箒を写真で。
火がうまくおきないと、炭手前はあとで、へこみますが、 「座掃き」は灰でよごれた(少ししかよごれませんが)清めるので、気持ちがよいものです。自分も清められた気がします。
羽は大鷲です。羽の模様は自然の織りなす造形美はみて飽きが来ません。大鷲からちょうだいしたものです。感謝です。
この日、先輩方は、 「真の行台子」のお点前をされていました・・・・・・
大変複雑で、3回も拝見しましたが、ひとりではとうていできそうもありません。
道は遠く、長し・・・・歩き甲斐があるというものです。