君の風景は僕の風景 Landscape.42
今度こそ、お願い。
わかってる、もう間違いは
しないよ。
昔の恋人って
そんなに
忘れられないもの、
なんですかね。
店を出て、櫻井さんが呼んでくれたタクシーに乗り込み、軽く会釈をし、ドアが閉まった事を確認すると運転手に行き先を告げた。
俺の頭の中で確実に今のこの三人の関係性が理解できた今、軽々しい行動は控えるべきだと思ったから、仕事のペースを切り上げて、早くあいつを連れて、海外へ、、、、本当ならば、俺なんかよりきっと彼の方が(櫻井)あいつを幸せにしてくれるとは思うけれど、もう、本当にあんな辛い思いは
………………したくないから。
きっと最後のチャンス。
そして、間違いなく、最後の恋
あいつが俺の事を許して、尚且つ欲してくれるなら、ここで迷ったらまたきっと同じ事を繰り返す。
また、あいつを、あの時のように傷つけ、何より自分がきっと再起不能まで
………………傷つく
そして、その二人の決断の代償として
あの人は、、、、、、
PRRR、、
「もしもし、まだ起きてるか?」
少し眠そうな声で返事が返ってきて『今からホテル戻るけど、』というと『少しだけでも話したいから待ってる』と。
間違いなく櫻井さんはバーであいつに電話をしてた。内容を全部聞くほど野暮じゃないけれど、話し合いと言う形に向かってる気がした。
本当なら俺もその話し合いに、、とは思うけれど、仕事の関係上、相手があの人である以上、それは無理な話で。
プライベートと仕事はわける、これは当たり前の事、でも穏便で事が終わるとも思えない気もする、だから、俺は今できる事をする。
自分の気持ちがブレないように
あいつの気持ちをいつでも受け止めれるよう、そしてケアできるよう。
何よりもう、二度と
………………離れない、ように。
「風邪はマシになったか?」
「うん、声、少しマシでしょ?」
部屋に行くと風呂でも入ったのだろう、少し髪がしっとりしたまま迎えてくれたその姿に自制を一瞬にして失いそうになったけれど、軽い口づけを交わした後、俺もその足てシャワーを浴びに向かう。
智
ん?
背中流そうか?
馬鹿、治る風邪も治らないぞ、布団でも、、
そんな会話が浴室で小さく響いたかと思ったら、パタンとドアが開く音とともに俺の肌にあの柔らかく、丸っこく、決して忘れることがなかった指先が
………………触れた。