ちょっと前の話、9月の頭ごろでした、、かな?
近所のお友達の紹介で、昔からご家庭で醤油作りをされてる方のお宅に 金継ぎの田代さんと弟の嫁さんと我が家ファミリーで見学させてもらいに行ってきました。
ご夫婦共に定年までは教師をされてたそうです。
いまは、専業でお米や麦や大豆もっていってたかな、、作ってらっしゃいます。
我が家から30分くらい山手に走った大和町という、何年か前に合併したので 同じ三原市内におられました、醤油作りの大ベテラン。
僕らはもちろんプロではないので、施設も機械も技術もありません。
だからこそ、培ってきた農家の片手間醤油作りって技術は、一番参考になるのかもしれません。
なんと、ご家庭での醤油作り この道40年だそうです(笑)
早速、醤油麹をみせてもらいました。
ムシロ、シーツ、麹、麻のムシロ、ムシロという段取りのサンドイッチ。
この、麻のムシロがとっても素晴らしい、わたしの宝物だと ばーちゃんは言っておられました。
素晴らしい醤油麹でした。
仕込みの量は、麦、大豆ともに一斗づつが一枚のムシロ。
一斗は麦で13kgお米だと15kg、大豆だと、、忘れたわ! とのこと(笑)
今年は調子悪くてムシロ四枚ぶんだけど、いつもは12枚分仕込んでるそうです。
すんすんすんげー!
ウチなんて、、ムシロ一枚分にも届かない仕込み量ですぜー。
しかしここで、手作り醤油作りな人なら 『ん、まてよ。 何でいま時期に麹仕込んでるんだ?』
と思われたんではないでしょうか。
僕らはいつも、冬の終わりか遅くても春先に仕込んでました。
ばーちゃんいわく、『盆すぎたら醤油を絞って、9月の最初の台風が過ぎたころに醤油麹を仕込む』 のが、良い時期らしいです。
確かに、まだわりと寒い時期に麹を仕込んでましたが、煮た大豆の温度を利用して 適温になった瞬間を狙って菌を着けて、その後冷えないように毛布をかけたりして保温して、、温度が上がり出したら毛布をとったり またかけたり 広げたりと、、、
人間の赤ちゃんを起こさないように、風邪を引かせないようにするかのごとく 物凄く手間と時間を費やしてました。
日中の温度は30度前後まで上がり、カラッと乾いてて過ごしやすくなってきたこの時期に仕込むと、温度管理が非常に楽チンだと言う理由、うなずけました。
醤油なみなさん、麹の仕込みは9月に入ってからしてみませんか!
我が家は来年、そうしてみようと思ってます。
子供らだけで8人(笑)
大所帯で押しかけまして、変な菌を持ち込まなかったかと恐縮しつつ(>_<)
加工場を見せていただきました。
鉄の大釜カマド!
ここで、醤油麹用の麦を炒ったり、絞った醤油の火入れをされるそうです。
メッチャ素敵ーー 欲しいー‼︎
大釜の隣には、なんと農産加工用の五右衛門風呂‼︎
量が多い時にはこちらも使用するんですって。
五右衛門風呂で加工とか、カッコ良すぎ(笑)
そして出ました、醤油の絞り機。
設計図とかなくて、昔来てた醤油の絞り氏さんがこんな感じのを、、と言う言葉だけで制作したのは、ここのおじーはんだそうです。
いやー、人間力メチャ高いんでしょ!
カッコえーわ。
絞り方は、まず絞り機の内側にビニールを当ててから、竹のスノコを底と側面に当てて
これ⤵︎ がスノコね。
絞り袋に醪を入れたやつを重ねていって、長い角材を利用してテコの原理で絞るそうです。
昔からの絞り機の再現だから、油圧ジャッキとかを使う設計になってないんですね。
なんかそこにも歴史を感じて素敵だなーと思ったり。
ホント、見ちゃうと良いなーっ欲しいなーって思っちゃいますよね。
さて、一年先までに間に合わすことができるのか、俺!
絞り機の横には、醤油の仕込み樽。
大きいですねー。
このばーちゃん、もんのすごい量の麹を仕込んでますもんね(笑)
ホンマにスーパーばーちゃん。
し・か・も‼︎
仕込み樽の中には二番醤油が。
なんとこのばーちゃんは、二番醤油を次の年の仕込み水に使うんだそうです。
衝撃的でした。
40年前から醤油が繋がってるんですって。
その話だけで、めちゃロマンがありますよね!
そしてこれも衝撃的でした、塩分などの濃度を測れるボーメ。
安いんですね、Amazonとかで2000円せんとてに入るものもありました。
これで二番醤油の塩分濃度を測って、来年の仕込みに塩を何キロ加えるのか計算するそうです。
と、絞った一番醤油も塩分濃度を測り、19度ってとこに合わせるんだそう。
醤油を絞る時って、まず醪が熟成させた年月のあいだに水分がメッチャ飛ぶんで、カリカリもっちりネットリ みたいな状態なんですね。
で、絞る前に仕込んだ時くらいの状態に戻すために、醪にお湯を注いでしっかり馴染ませてから絞ります。
我が家の醤油絞り
なるほど、、⬆︎ワシらいっつも入れるお湯の量とか適当で、味見ながら『んー、だいぶ醤油っぽくね? もーちょっと伸ばしとく?』 みたいな感じでした。
そっか、塩分濃度測ればよかったのねー。
簡単なことってか、言われて気づいたこのクソ単純なことが、なんだかメッチャ気持ち良いスッキリ感がありました(笑)
そして、醤油の保管の話でも盛り上がりました。
醤油は火入れといって、絞った後にゆっくり温度をかけて煮ます。
そして、浮いてきたアクをとって、冷まして瓶詰めなんですが。
ワシらは菌が生きてる生醤油がいいよねーなんて言って、火入れはしてませんでした。
でも、醤油は火入れしても菌は死なないんだそうです。
火入れした醤油も、栓してたらそのうちポンって飛びます(⬆︎の写真がポンって言ってるところ。)とのこと。
だから、保管はラップを輪ゴムで巻くんだと。
火入れはアク抜きの為にするそうで、多少は菌の働きは弱まるけど、また動きますとのことでした。
そして、手作り醤油な人にはおなじみですが、一升瓶に入れてたら、酸膜酵母といって白いオリのようなものが上に浮きます。
これが、ちゃんと手作りの証拠みたいなつもりでいましたが、ばーちゃんの醤油は酸膜酵母は浮きません。
その秘密は、、
一升瓶にスプーン一杯くらいの焼酎を入れるんだそうです。 それだけで、酸膜酵母が浮かないんですって。
後日、醤油醸造組合でもお話を聞いたところ、プロも絞った後にアルコールを添加するそうです。
だから、スーパーの醤油に酸膜酵母が浮いてるのは無いんですよ。
ちなみに、組合では 刺身醤油を醸造する時だけ醤油で仕込み、二年くらいかけるとおっしゃってました。(そこの組合は、普通の醤油は半年から一年の仕込みだそうです)
メチャ今後にいきる、すんごい濃い学びをさせていただきました。
んー、ばーちゃんの、濃厚で深くてシッカリしてます。
まるしまのも、ものすごくばーちゃんの醤油によく似てました。 もしかしたら、まるしまのも、醤油で仕込んでるのかもしれませんね。微かに香る風味や香りの違い程度で、似てましたねー。
そして、ウチの。
比べてみて分かったけど、塩分が薄かったですね。
でもスミマセン、手前味噌ですがウチのが1番美味かった(笑)
まあ、食べ物ってほんと十人十色の好みがありますけんね、毎日使ってる調味料が1番馴染んでシックリきても不思議じゃないわけで、他の人にはまた違った感想があるのでしょう。
そして、、
ばーちゃんの家の近くで、こんなもの発見しちゃいましたー!
みなさん、何か分かりますか?
醤油からの発酵なストーリーが もうひとつ生まれました!つづく