施設長の若山三千彦が書いている犬のエッセイです。
今回のエッセイは、昨年アップしたものと内容が被る部分があります。
ご了承下さい。
先週、さくらの家のマルコが虹の橋へ旅立ちました。
マルコは、私にとってちょっと特別な意味をもつワンコでした。
というのも、マルコは、さくらの里山科に最初に入居した文福と一緒に、まずさくらの里山科にやってきたのです。
2012年4月3日のことです。
マルコと文福、そして大喜は、愛護団体「ちばわん」さんの、同じボランティアスタッフさんの家で数か月一緒に暮らしていました。
そして、さくらの里山科が開設した時、まず先遣隊としてマルコと文福がやってきたのです。
本当は大喜も一緒の予定だったのですが、ホームで始めて犬が暮らすのに当たり、最初はまず文福1匹だけで試し、体制を作ってから大喜を迎えたいと、ちばわんさんにお願いして変更してもらったのです。
そのような経過で、最初にマルコと文福がやってきました。
そして、やってきた2匹をドッグランで遊ばせ、次に散歩に連れて行った後で、私がマルコをさくらの家三番館に連れて行きました。
こうして、さくらの家三番館でマルコが、さくらの里山科で文福が、それぞれ第1号ワンちゃんとして暮らし始めたのです。
その2週間後に、大喜がやってきました。
だから、マルコ、文福、大喜は、うちの法人の初代ワンコであり、現在に至る伴侶動物福祉の道を開いてくれたパイオニアとして、私にとっては特別なんです。
だから本ブログでも、「ちばわん3兄弟」って言っていたんです。
さらにマルコは私にとって、文福や大喜とは異なる特別な点がありました。
一緒に衣笠山を散歩した仲間なんです。
私は法人の理事長もつとめているので、さくらの家三番館の隣にある法人本部にいくことは多いのですが、それでも文福や大喜に比べると、マルコに会うことは少なかったです。
散歩となると、ほとんど行ったことがありません。
行くのは、さくらの家の行事の後だけでした。
コロナ前、さくらの家は近隣の人を招待する感謝祭を毎年開いていました。
また、自治会の役員さん達などを招待する交流会も開いていました。
そのような大きなイベントの時は、私も手伝いに行きます。
休日出勤ですから、イベントの片付けが終了すると、私はOFFになります。
だから、マルコをたっぷり散歩に連れて行くことができたのです。
さくらの家は衣笠山と言う小さな里山の中腹を造成した住宅地の中にあります。
そこは私が育った地域です。
だから子供の頃は、衣笠山が遊び場でした。
私はインドア派で、子供の頃も外で遊ぶよりは家の中で本を読む方が好きでしたが、それでも当時は昭和の真っただ中(昭和40年代です)。
近隣の子供全員で衣笠山で遊ぶ時は、否応なしに参加させられていました。
いえ、内向的な私でも、皆と遊べば楽しかったので嫌々ではありませんが。
だから、衣笠山のことは隅から隅まで知っています。
衣笠山は高さ100メートルちょっとの小さな山ですが、名もない里山がいくつもつらなっており、それなりに懐は広く、獣道のような小さな道があちこちに広がっていました。
地元の子供たちしか知らないような小さな道です。
そんな小道にマルコと一緒に行ってみました。
子供の頃以来、40年以上ぶりのことで、もちろん獣道みたいな小道は色々と変わっていましたが、それでも記憶にある道筋を補正して、十分地理を把握できました。
だから、私とマルコは、絶対に他の職員は行かないような、衣笠山の裏側の細い道をあちこちと回ったのです。
小さな里山と言えど、雑木林の真っただ中の山道です。
犬にとっては最高の環境です。
若くて元気だった頃のマルコは大喜びしていました。
2時間近く、アップダウンを繰り返して散歩して、私はへとへとになっていましたが、マルコは元気いっぱいでした。
子供の頃遊びまわった雑木林を、この年になって再び訪れることになるとは夢にも思っていませんでした。
マルコへは大感謝です。
イベントの後の散歩は、私とマルコしか知らない密かな楽しみだったのです。
コロナが始まり、イベントができなくなると、その楽しみも失われてしまいました。
私が休日の時にさくらの家を訪れて、マルコを散歩に連れ出せばできたことですが、
日々に追われているうちに、その機会をのがしている内に、マルコは年老いて、少しずつ足が弱ってしまいました。
一昨年の12月、さくらの家三番館がコロナのクラスター感染となり、職員がマルコの散歩に行くことが難しくなったため、久しぶりに私が散歩に行った時は、マルコはもう15分位の散歩になっており、山道を何十分も登ることはできませんでした。
それでも、ほんの少しだけ衣笠山の坂道を一緒に上ったのは楽しい思い出です。
そして、昨年の春、マルコが立てなくなってしまい、もう2度と散歩にはいけないかと愕然としました。
しかし、読者の皆さんはご存じの通り、マルコがよく頑張ってくれたおかげで、秋には少しだけ散歩ができました。
私がマルコの体を支えながら、三番館の玄関前の駐車場を少し歩いただけですが、それでもマルコと一緒にもう一度散歩が出来て感激でした。
幼い頃に遊んだ山に連れて行ってくれたマルコには心から感謝しています。
次に散歩するのは虹の橋でのことになりますね。
マルコ、少し待たせちゃうかもしれないけど、虹の橋でまた一緒に散歩しようね。