脱出のきっかけは……なんだったんでしょう。
昔のことで、よくは思い出せませんが、積もり積もったいろいろなことが爆発したんでしょうね。
あと、世間で「モラハラ」という言葉が浸透してきた時期でした。
モラハラ……ああ、当てはまる、当てはまる。
奴がしてきたことは、してはいけないことだったんだな、とはじめて理解しました。
どうして今まで気が付かなかったのだろうか、とも思いました。きっと、感覚がマヒしていたんだと思っています……。
そして、数々の虐待です。
地獄のような日々をずっと送るのか、と考えた時「よし、逃げよう」と決めましたね、たしか。
私には、きょうだいがいます。きょうだいも虐待を受けていました。
当時はまだ成人していなかったので、きょうだいが成人するのを待ちながら、荷物をまとめたり、ワケアリの引っ越しを引き受けてくれる業者を探したりと動いていました。
それから、母ですね。
母も暴力、精神的暴力、経済的支配を受けていたので、置いてはいけません。
なので、引っ越しはけっこう大掛かりでした。
けれど、奴に気付かれずに引っ越しは成功しました。これは本当に運が良かったとしか言いようが無いです。
脱出の日は、奴が生活習慣病の治療のために、通院する日でした。
「行ってらっしゃ〜い」と皆で奴を見送り、手はず通りに私たちは脱出しました。
その日が、奴を見た最後の日になりました。
引っ越し作業はとても疲れましたが、夕飯の鍋料理はとても美味しかったです。