ねえちゃんが目覚めて一日経った。
今度の発作で、もう死ぬのだと思ったそうだ。
ねえちゃんは発作の時の事をいつもこう話す。
「死ぬって消えてしまうことだよ。
この世から完全に自分が消えてしまうの。
死んだ先には天国も地獄もないよ。ただ消えてしまうの。
発作が起きて意識がなくなる直前は物凄く恐い。
暗闇に落ちていく感じじゃないんだよ。
ただ消えてしまうの。
だから自殺をする人は死ぬ寸前で凄く後悔してると思うよ。
自分の生涯で一番の恐怖だと思う。でももうそこで気づいても遅いの。
もう誰も助けることができないもん。」

いつもこんな感じだ。
だからなるだけ長生きして天命を全うするのがいいのだそうだ。
人間は老いて寿命で死ぬ時は自分の死をちゃんと受け入れられるように
なっているのかもしれない。
ねえちゃんはこんな怖い思いをしているのに
手術は絶対に嫌だと言うんだ。
胸にデカイ傷が付くことのほうが死ぬことより怖いし嫌なのだそうだ。
死をいつも身近に感じているのに嫌なんだね。
よっぽど嫌なんだね。

本人が手術を望んだとしてもできない訳がある。
ねえちゃんは麻酔がダメなんだ。
手術をしたことがある人は知ってるだろうけど
手術中は麻酔をかけるでしょ、
ほとんどの人には問題は起きないけど
その麻酔が原因で死亡する人が極まれにいるんだよ。
手術の同意書とかにも麻酔のことや手術ミス以外での
適応しない人や拒絶反応のことが記載してあるはずだよ。
ねえちゃんが麻酔がダメなのがわかったのは
小さい頃に外科で脚を縫った時だったみたいだ。

それに冠動脈の奇形なんて見た目には正常なものと変わりないから
どこが悪いかなんてわかんないんだ。
切開してみてそのとき発作が起これば場所の特定が出来るみたいだ。
でも手術しないと即死亡するわけじゃないから
移植を希望したとしても優先順位は低いようだ。
これから、ねえちゃん心臓はどうなっていくのだろう・・・・・
不安だ。
父さんも年だし。
不安だ。

今回の事があって
ねえちゃんが弁護士に自分が死んでからのことを頼んでいることが判った。
父さんも年だし、僕が一人残された時に困らないように
生命保険や貯金のこと、
それからねえちゃん自身が発作で倒れて完全に植物状態になってしまった時のことを
残された僕や父さんが判断に困らないように自分で生前に決めたことを
弁護士を通じて実行してもらうためだ。

ねえちゃんは甘えん坊で馬鹿だけど
やっぱりねえちゃんなんだと思った。
大人なんだな。

でも死んでからのことを考えるんじゃなく
どうやって長く生き抜いてやるかということを
ねえちゃんには考えて欲しい。

僕も父さんもねえちゃんが生きていてくれないと嫌だ。


ピグ友の皆様
お友達
同僚の方
お客さん
ねえちゃんはとても感謝しています。
皆様からのメッセージを読んであげたら
泣いていました。
とても幸せだと言っていました。
しばらく、ねえちゃんはパソコン出来ないので
また復活したら遊んであげてください。

皆様ありがとうございます。