(1)鍬に尽くす

赤人の描く和歌 富士の下の耕人 親孝行な息子達にとっては
耕せ、耕せ 白鷺は後から追いついてくる、この水路を通して
時に陽も高くなり 影も短くなり 菜の花も黄色く野を染めぬ

(2)士農工商

田を打ち 風先に堪える 我々、江戸時代からの農民供よ
徳川家康公に 附いて、附いて参れ 関八州へと参じた路
彼の開拓民の如く 生まれ変わる 田んぼに映りゆく風雲

(3)夏は来ぬ

畑の土を起こすのは モッコを運ぶのは 我らの春先のお仕事
動くのは水色の空と我々の足 初々しく植える乙女のお披露目

(4)奉公娘

畦を張って、水路を変えて見せた 初恋時代に遊んだ様にもゆかずに
花時過ぎし頃 落ちた花びらが映る 娘子の眼の行方は川の畦で佇む