自分が中学生のころ通っていた学校では、

年一回クラス発表会の行事がありました。

ある年自分たちのクラスは本曲「ムーン・リバー」の

合唱演奏を全校生徒の前で披露することになりました。

 

クラスの中の誰が選曲したのか記憶にありませんが、

その生徒は相当ませた子だったようです。

というのは(皆さんご存知の通り)

この曲は大人の恋の歌だったからです・・・。

 

奏でられるメロディーは甘く流麗。―――

くわえて曲想も洗練された大人の雰囲気でいっぱいです。

またその一方で英語の歌詞も中学生にとっては

難解(?)なものでした。

 

「dream maker(夢をくれたり)」や

「heat breaker(心を傷つけたり)」。

あるいは「drifters(流れ者)」や

「rainbows end(虹の終わり)」。―――

さらに「My Huckleberry Friend(私の大切な友達)」など。

 

とは言えこのような未知の音楽や単語に触れて、

大人の世界を垣間見た生徒が

はたして何人いたのか、どうか(?)。―――

少なくとも自分はそうではなかったような気がします。

 

さて本曲は1961年に公開された

米映画「ティファニーで朝食を」の劇中歌で、

主人公のホリー・ゴライトリーに扮した

オードリー・ヘプバーンが歌っていた曲です。

 

ホリーはニューヨークの華やかな

社交界を飛び回る高級娼婦。―――

そんな彼女が暮らすアパルトマンに、

ある日売れない作家のポールが引っ越してきます。

 

やがて彼は不思議な魅力を持った彼女に

惹かれ始めてしまいます・・・。

そんなポールに彼女がギターを爪弾きながら

歌って聴かせた曲が本曲でした。

 

なお作曲はヘンリー・マンシーニ、

作詞はジョニー・マーサーというお方です。

 

ムーンリバー とても広い川

堂々と渡ってみせる いつの日か

夢をくれたり 心を傷つけたり

あなたが行く所どこへでも

私はついていく

 

二人の流れ者が 世界へ旅立つ

まだ見ぬ世界が広がる

私たちは目指す 同じ虹の終わりを

待ち合わせましょう あの曲がり角で

私の大切な友達

ムーンリバーと私

 

高級娼婦と言われているホリーは、華やかな

生活にあこがれ、お金にもこだわっていたお人。―――

また負けん気も強く同性に対する視線には

厳しいものがありました。

 

ところが本曲を歌っていた場面の彼女は

お化粧っけもなく、

まるで夢を見ているような普通の少女(?)。―――

きっとポールもそんな彼女に

惚れてしまったような気がします。

 

なお本曲はジャンルを越えて、

今でもどこかでカバー曲が歌われているそうです。

 

1961年 リリース

 

「ムーン・リバー」 ~ 

 オードリー・ヘプバーン「ティファニーで朝食を」