尾道に住む周吉とその妻とみは、

東京で暮らしている子供たちと久しぶりに会います。

笠智衆さんなど懐かしい俳優たちが出演している日本映画です。

 

タイトル 「東京物語」

キャスト  平山周吉(笠 智衆)

      平山とみ(東山 千栄子)

      紀子(原 節子)

      平山幸一(山村 聡)

      金子志げ(杉村 春子)

監督  小津 安二郎

 

尾道に暮らす周吉と妻のとみは

次女の京子に留守を頼み東京にでかける。―――

二人は下町で小さな医院を開業している長男の幸一の

家に泊まるが、東京見物に出ようとしたところで

急患が入りでかけることができない。

その後美容院を営む長女の志げの家に泊めてもらうが、

やはり彼女も忙しくどこにもでかけられない・・・。

 

その後、次男の妻紀子が志げからの頼みにより、

仕事を休んで一日両親を東京見物に連れて行った。

二人はその夜紀子の狭いアパートの一室で、

彼女から精一杯のもてなしを受ける。―――

やがて功一と志げはお金を出し合って二人を熱海に送りだす。

ところがその宿は若者向けの安宿だった・・・。

 

二人が泊まった熱海の宿は若者たちが

宴会や徹夜マージャンで夜通し騒ぎたて、

彼らは結局寝ることができませんでした。

次の日早々に志げの家に帰ってきた二人。―――

 

ところが志げはもっと熱海でゆっくりして欲しかった、

と迷惑そうな態度をとる始末。―――

彼女は久しぶりに会った両親に対して

終始冷たい対応をとっていました。

 

長男の幸一にしても同じ。―――

急患の依頼がきたときに嫁に両親の面倒を

観させることもできたハズです。

その嫁も心なしか二人に対する冷たい素振りが見え隠れ・・・。

 

それは志げの夫についても同じ。―――

結局両親と血のつながっていない紀子だけが、

優しく二人の面倒を見てくれました。

 

子供たちの態度に失望した二人はやがて尾道に戻りますが、

車内で体調を崩したとみが故郷に戻ってすぐに

急死してしまいます。

やがてとみの葬儀が行われこの物語りは幕に・・・。

 

さてラストスーンで周吉は誰もいなくなった部屋で、

うちわを仰ぎながらひとり海を眺めます。

このとき彼の脳裏に去来したもの。―――

 

それは子供たちが優しくなかったことを嘆く一方で自分たちの

人生は良いものだった、と妻と語り合ったこと(?)。

それとも二人して紀子の優しさに感謝し、

早く再婚して幸せになって欲しいと、

彼女に言ったことだったのでしょうか・・・。

 

ところで本編に登場する俳優さんたちのセリフは

一様に切り詰められているようで、

けっして饒舌なものではありません。

その一方でそのときどきの彼らの顔の表情や

何気ないしぐさが意味ありげに映ります。

 

煙草を吸う。

はしで食べ物を口に運ぶ。

パタパタとうちわを仰ぐ。

また部屋うちではたきをかけたり、

だまってため息をつく。―――

 

そうした所作が彼らのキャラクターや心情を

浮き彫りにしていたような気がしました。

小津監督は俳優たちに対する

厳しい指導でも有名だったとのこと。―――

おそらく彼らは相当緊張して

演技していたのではないでしょうか(?)。 

 

1953年  松竹

 

笠 智衆(平山周吉)

 ~「東京物語」

義理の娘の紀子とともに都内観光を終えた周吉ととみはその夕

方、紀子のアパートで夕食をともにする。彼女が暮らしている

アパートは古く、またその部屋は狭かった。しかしながら二人

は幸せだった。決して贅沢なもてなしではない。とは言え血が

繋がっていない紀子の優しい心に二人は感じ入ったのだった。