元ロデオスターの老人がメキシコに住む少年を

父親に合わせるためアメリカへ向かう物語り。―――

クリント・イーストウッドが

主人公の老カウボーイに扮しています。

 

タイトル 「クライ・マッチョ」

キャスト  マイク(クリント・イーストウッド)

      ラフォ(エドゥアルド・ミネット)

      マルタ(ナタリア・トラヴェン)

監督  クリント・イーストウッド  

 

物語りは1978年のテキサスで始まる。

マイクはかつてロデオで名を馳せた老カウボーイ。―――

現在は落ちぶれて馬の調教で生計を立てている。

ある日彼は牧場主のハワードから仕事を依頼される。

それは現在メキシコの元妻の家にいる

息子ラフォを連れてくること・・・。

 

ハワードの元妻は豪邸でパーティー三昧の日々。―――

一方母親に愛想をつかした十三歳のラフォは、

ストリートチルドレンとして盗みや闘鶏に明け暮れていた。

マイクはそんなラフォと雄鶏のマッチョを連れて旅立つ・・・。

警察と元妻の用心棒たちをかわし国境に近づくも、

とある寒村で足止めされてしまった二人。―――

彼らは未亡人マルタが経営する食堂に転がり込むが・・・。

 

自堕落な母親の影響からか人間不信に陥っていたラフォ。―――

当初彼は一緒に旅しているマイクの言うことを

素直に聞くことができません。

ところが足止めを食ったとある寒村での滞在が転機となります。

 

ここで二人は小さな牧場で働き始めます。

やがて親切な未亡人のマルタと出会い、彼女の店を間借り。

彼女とその孫娘たちと仲良くなったマイクは

仕入れた肉を店に差し入れ。―――

自ら料理を作るようになりました。

 

また時間があれば彼女たちとカードで遊ぶ。

耳が不自由な孫娘たちに、

どこで覚えたのか手話を使って

笑顔で話しかけます。

 

さらにマイクは働き場とした牧場で

毎日ラフォに乗馬を教えることに。

覚えの良いラフォは未経験の乗馬をまたたく間に習得。―――

ロデオまがいの動きもこなすようになりました。

 

その一方で獣医としての知識も持つマイクは、

村の住民たちの動物の面倒を見るようになります。

やがて村人たちは少しづつ

よそ者のマイクを信頼し始めます・・・。

 

ラフォを父親に会わせるまでに

本当の「男らしさ(マッチョ)」とは

何かということを彼に教えたい。―――

これがマイクの強い思いでした。

 

腕力が強いことや銃の扱いが上手い

ということだけがマッチョではないよ。

立場の弱い者たちに思いやらないで

何がマッチョだ・・・。

 

しだいにマイクの誠実な人柄に

感化されていったラフォ。―――

やがて彼は父親と会うことを受け入れます。

 

本編はいわゆる「ロードムービー」としての

面白さを充分満喫できる映画。―――

と同時に孤独な老人と少年の交流を描いた

ヒューマンドラマでもあります。

 

この映画の撮影時、

主演のクリント・イーストウッドはよわい九十歳。―――

顔はくしゃくしゃでしわだらけ。

声もしゃがれているし腰もけっして

ピンとしているわけではありません。

 

それでも老骨に鞭打って(?)、

自ら何十年ぶりかの乗馬シーンをこなす・・・。

どうやら彼の映画に対する愛情は永遠のもの。―――

リスペクトの思いを抱いたのは

けっして自分だけではないような気がしました。

 

2021年  アメリカ映画

 

クリント・イーストウッド (マイク)

老カウボーイのマイクはかつてロデオ界のスターだった。そん

な彼も落馬事故がきっかけとなって落ちぶれ、現在は馬の調教

で生計を立てている。ある日マイクは彼の雇い主であるハワー

ドから、メキシコにいる息子を元妻から連れ戻して欲しいと依

頼される。彼にとってハワードは恩義のある男だった。