もう十年以上前の話しですが、あるとき自分の誕生日に

息子から桑田佳祐さんのアルバムをプレゼントされました。

それは「昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦」

というDVD二枚組のアルバム。―――

 

桑田さんは長年「Act Against AIDS」

のコンサートを開いているそうで、

このアルバムはその10回目の

コンサートのライヴ映像です。

 

ご本人いわく

「私が子供の頃、日本中が毎年大晦日にはレコード大賞、

そして紅白歌合戦を家族そろって見ながら

新年を迎えていたものです。

茶の間のこたつで家族そろってテレビを見ていた

あの時代・・・当時のテレビで見た名曲は、大人になった

今聴いても決して色あせることなく、輝き続けています。

そんな、私にとっても大切な存在である、日本の名曲を

今回は「ひとり紅白歌合戦」という形で

ステージにしてみました・・・」。

 

ちょっと長い引用になりました。

とは言えこのアルバムで歌われた全61曲の歌は

桑田さんにとって掛け値なしの「かけがいのない日本の歌」

なのだと思います。―――

 

 第一曲「サン・トワ・マミー(越路吹雪)」

に始まったこのコンサート・・・。

途中息つく暇もなく歌い続けてたどり着いた曲は

第六十一曲の「あの鐘を鳴らすのはあなた(和田アキ子)」。

 

懐かしのグループサウンズあり、

大ヒットしたポップスあり、歌謡曲あり。―――

またニュー・ミュージックもあって、

しっとりとした演歌もある・・・。

 

それこそそのときどきの時代を象徴していた

スターたちの代表作が目白押し。―――

自分がテレビを見ていて笑って楽しんできた何十年間が、

まるでダイジェスト版のように

二枚のDVDに詰まっていました・・・。

 

なかでも目を引いたのは

桑田さんが舞台の中盤で歌った

「ハナ肇とクレイジーキャッツ」と、

これに続く「ザ・ピーナッツ」の歌の数々。―――

 

クレイジーキャッツの「だまって俺について来い」

(第三十番)に始まった八曲は、(たぶん)桑田さんの

思い入れがたっぷり入った選曲だったと思います。

ちなみに彼らの歌のナンバーは次の通りです。

 

第三十番  ハナ肇とクレイジーキャッツ

       「だまって俺について来い」

第三十一番 同「スーダラ節」

第三十二番 同「ハイ それまでヨ」

第三十三番 ザ・ピーナッツ「ふりむかないで」

第三十四番 同「可愛い花」

第三十五番 同「情熱の花」

第三十六番 同「恋のフーガ」

第三十七番 同「恋のバカンス」

 

思えばサザンオールスターズ最初のヒット曲

「勝手にシンドバッド」は、そのナンセンスな(?)曲作りが

クレイジーキャッツに似ているところもありました。

またザ・ピーナッツの「恋のバカンス」は桑田さんの

コンサートでも頻繁に歌われているとのこと・・・。

 

ともあれ本アルバムには「ため息が出るような」

懐かしい昭和の歌が満載。―――

そんな昭和の歌を懐かしむ方も、

実はそれほどではないと思っている方も、

ぜひ一度お聴きになって見てくださいね(!)。

 

2009年  リリース

 

桑田 佳祐 「昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦」