若きクリント・イーストウッドさんが

さすらいのガンマンに扮した西部劇。―――

世に言う「マカロニウエスタン」のはしりとなった作品です。

 

タイトル 「荒野の用心棒」

キャスト  ジョー(クリント・イーストウッド)

      ラモン(ジャン・マリア・ヴォロンテ)

      マリソル(マリアンネ・コッホ)

      シルバニト(ホセ・カルヴォ)

監督  セルジオ・レオーネ

音楽  エンニオ・モリコーネ

 

ある日メキシコ国境にある小さな町サン・ミゲルに、

流れ者のガンマン・ジョーが現れる。―――

ジョーは酒場のおやじのシルバニトから、ドン・ミゲル一家と

バクスター保安官が縄張り争いをしていると聞かされる。

両者の争いで町は疲弊し、儲かるのは棺桶屋だけだと言う。

これを聞いたジョーはそれを逆手にとって

大儲けしようと考える・・・。

 

ある日ジョーはメキシコの軍隊を追って

アメリカの騎兵隊との取引現場に向かった。

ところがその現場で待ち受けていた

ドン・ミゲル一家のラモンが機関銃で全員を射殺。―――

まんまと金を奪ってしまう。

これを見ていたジョーとシルバニトは

一計を案じて危険な賭けにでるが・・・。

 

その危険な賭けとは

ラモンに殺された兵士の死体をおとりにして、

ドン・ミゲル一家とバクスターを戦わせることです。

一歩間違えれば銃の矛先が

ジョーに向けられることは百も承知。―――

 

ところが事はジョーの思惑通りにうまく運び

両者の確執はさらに深まります。

この後バクスターたちはドン・ミゲル一家

との死闘のすえにせん滅されてしまいます。

 

物語りの中盤から

これらの凄まじい戦闘場面が連続。―――

血と硝煙がうずまく画面に

観客は身動きもとれず呆然とするばかり・・・。

 

自分が初めてこの映画をテレビで観たのは

たぶん中学生のころ。―――

ただしその記憶にあるのは面白かったとか、

そういう類いのことではなかったと思います。

ただただ驚いて怖がっていたような気がします(?)。

 

お金のためとは言え

平気で人を殺すガンマンたち。―――

とくにラモンが機関銃で数十人の兵士を

皆殺しにする場面は相当なインパクトがありました。

 

さらにラストを飾るジョーとラモンの一騎打ちの場面。―――

ドン・ミゲル一家に捕まってリンチを受けたジョーが

復讐の念も凄まじくライフル使いのラモンに立ち向かう。

ジョーはラモンが相手の心臓しか狙わない打ち手と看過。

その胸に分厚い鉄板をまいて決闘に臨む・・・。

 

ラモンのライフルが何度もなんども火を噴き

ジョーの胸に弾がぶち当たる。

それでもゾンビのごとく立ち上がるジョー。―――

 

このシーンを観て自分が思ったのは「ラモンはなんで

ジョーの顔を撃たないのか」ということでした。

その頃自分は中学生。―――

子供の頭ではなかなかその理由がわかりません。

 

ともあれクリント・イーストウッドさんはこの映画で

一気にスターダムへの道を歩み始めました。―――

 

ポンチョを身に着けて馬上で黒い葉巻を

くわえている「さすらいのガンマン」。―――

その細い目はいったいなにを見ているのか。

このニヒルな絵姿が観客に強烈なイメージを

与えることになりました。

 

1964年  イタリア映画

 

映画「荒野の用心棒」

ジョー(クリント・イーストウッド)

ジョーはドン・ミゲル一家のラモンと、いつの日か白黒をつ

けなければいけない、と思っていた。ラモンは名だたるライ

フルの使い手。やつが放った弾丸は必ず相手の胸を射抜いて

もいる・・・。とは言えジョーにも秘策があった。イチかバ

チかではあるが、ここは乾坤一擲勝負するしかない(!)。