加山雄三さんはお若い頃

「若大将」シリーズの映画に何本も主演。―――

本作はそんな加山さんの人気絶頂期に撮られた映画です。

共演は(いつもの通り)「青大将」の田中邦衛さんや

「マドンナ」の星由里子さんたち・・・。

彼らとの息の合った共演も懐かしい東宝の「娯楽映画」です。

 

タイトル 「アルプスの若大将」

キャスト  田沼 雄一 (加山 雄三)

      岸 澄子(星 由里子) 

      石山 新次郎  (田中 邦衛)      

監督  古沢 憲吾

 

京南大学スキー部のキャプテン田沼雄一(若大将)は

同大学で建築学を専攻。―――

担当教授とともにヨーロッパの学会に出席し、

その余暇にジュネーブでスキーを楽しんだ。

そこで現地のパンナムスタッフの岸澄子と知り合い、

その直後同社のローマ支店で彼女とめでたく再会。―――

二人はローマ市内でデートする・・・。

 

その後日本に帰国した若大将は

全日本学生選手権に備えてスキー部の練習に励む。―――

またその一方で石山(青大将)の懇願に応じ、

彼の知り合いのパリジェンヌを自分の実家にステイさせる。

ちょうどその頃若大将は日本で澄子と再会。―――

ところが石山は澄子にちょっかいを出し始める。

こうしてパリジェンヌを交えた

恋のさや当てが始まったのだが・・・。

 

先日NHKで放映された

「復活!若大将 ~音楽を愛して~」を視聴。―――

病を乗り越え今も元気で音楽活動を続ける

加山さんの姿に瞠目しました。

 

年配のかたであればご存じのことと思いますが、

加山さんは(日本における)

シンガー・ソングライターの草分けのお一人。―――

彼が作り、歌った数々の名曲は

今でもその輝きを失っていません。

 

と同時に加山さんは東宝映画「若大将シリーズ」に

主演していた映画俳優でもありました。

このシリーズのなかで

彼は自身の持ち歌を思う存分に披露。―――

 

また得意とするギター演奏や様々なスポーツを操る

アスリートぶりが映画に彩りを添えています・・・。

本編でも作中で「君といつまでも」や

「蒼い星くず」「夕日は赤く」「モンテ・ローザ」

などの歌を歌う場面が登場。―――

 

ロックバンド・ブルージーンズをバックにして

彼のエレキギターも随所で炸裂。―――

またスタント抜きのスキーの妙技が

観客をアッと言わせてもいます・・・。

 

とは言えご都合主義に走りがちなストーリー展開に

目をむく観客もいるかも知れません・・・。

また加山さんの演技には好感を持てるものの、

いかにもお坊ちゃま風ではないか。

 

青大将やマドンナとのやり取りだって

いつもと同じパターンでマンネリ。―――

とか何とか言われかねない

映画であることも事実かも知れません。

 

しかしながらこの映画の見どころは

ズバリ加山さんのご活躍ぶり。―――

彼のファンにとっては

それらのことも(たぶん)気にならないハズ・・・。

自分はこれもまた事実だと思っています。

 

ところで何十年ぶりかに本映画を観て、

あらため感心したことがひとつありました。

それは映画のハイライトである全日本学生スキー選手権の

模様を活写した場面です。―――

 

特に長大な苗場スキー場の林間コースを撮影した

滑降競技の場面は迫力満点。―――

レース実況のアナウンスも抜群の臨場感

をかもし出しています。

 

このシーンや本場ヨーロッパアルプスでの

滑走シーンを観てつくづく実感しました。―――

本作はスタッフたちが

本気で作った「娯楽映画」だということを(!)。

 

1966年  日本映画(東宝)

 

映画 「アルプスの若大将」

加山 雄三さん (田沼 雄一『若大将』)

若大将はまたも困惑する。というのは石山(青大将)が彼

を追いかけて日本にきたパリジェンヌの面倒を見て欲しい

と言うのだ。そのくせ自分はパンナムスタッフの岸澄子に

ゾッコン。若大将を押しのけて仲良しになろうという魂胆。

若大将は彼女を実家に滞在させることにしたが・・・。