熊本城
敷島の 大和心を 人問はば 朝日ににほふ
山ざくら花
本居宣長
(しきじまの やまとごころを ひととわば あさひに
におう やまざくらばな)
意味・・大和心とはどういうものですか、と人が問うた
ならば、朝の太陽に照り映えている山桜の花、
という比喩で私は答えます。
宣長は日本の心、すなわち本質を追求し、それ
を古代の日本に求めようとした。そして、日本
の心は「すなお」や「清らかさ」であると考え
た。それが自然界にあっては、直(なお)らかに
咲いている山桜の花が清らかな朝日に照り映え
るようだと、宣長は考えたものです。
注・・敷島=大和に掛る枕詞。
大和心=日本人としての心情。美しい花、素直な花、
青く清らかな空、明るい雰囲気にたとえられる。
にほふ=色美しく照り映える。
作者・・本居宣長=もとおりのりなが。1730~1801。賀茂
真淵の門下生。
出典・・肖像自賛(笠間書院「和歌の解釈と鑑賞辞典」。