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君がため 春の野にいでて 若菜つむ  わが衣手に 
雪は降りつつ
                  光孝天皇

(きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもてに
 ゆきはふりつつ)

意味・・あなたに差し上げるために春の野に出て若菜を摘む
    私の袖には、雪がしきりに降りかかっていたのですよ。

    若菜を贈るのに添えた歌です。若菜を贈る行為は相手の
    長寿を願ったもので、雪と寒さを押して摘んだ自分の
    志を伝えています。

 注・・若菜=春になって萌え出た食用・薬用の草の総称。
     1月7日に春の七草の若菜を食して長寿を祈った。
    衣手=袖のこと。

作者・・光孝天皇=こうこうてんのう。830~887。

出典・・古今和歌首・21、百人一首・15。